OrderDogMurder

□第一部 時季外れの転校生
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「今回のターゲットは、榊原タツキ、か。金髪、背は低め、華奢。ぬいぐるみを抱えているな。女のようなやつだ。なんと殺りがいのない…。」
そう言いつつ、私は校門をくぐった。
敷地は広いが、一度地図を見ている。迷うことはない。
何度も死地をくぐり抜けてきている私には造作もないことだ。

職員室に着いた。
おもむろにドアをノックする。
「失礼します。今日から転入してきた、龍森翼です。担当の先生はどちらでしょうか。」

職員は一瞬固まった。
おそらくのんびりしているところに急にきたから驚きでもしたのだろう。
「あぁ、転校生の方ですね。ちょっと待ってね、先生を呼んでくるわ。」
1人の女性職員が言った。齢は25、6といったところか。
しばらくして私の方に向かってきたのは、長い紫髪を後ろで一つにまとめ、白衣を纏った男性の職員だった。
「ケント先生です。あなたが転入するクラスの担任よ。」

さっきの女性が言った。

「初めまして。2年A組担任の九瓏ケントだ。よろしくぅ。」
少し間延びした、呑気な声で紫髪は挨拶をした。
「転校生の龍森翼です。お世話になります。よろしくお願いします。」
私はありふれた文句を言って、教室へと案内する彼についていった。

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