『ONE PIECE』
□『第5話』
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いろんな事をサンジに教えてきたヒヨリだったが、戦闘と過去の事は何も話さなかった。
唯一話したのは、恩師がいたことだけだった。そして、サンジの過去も何も聞かなかった。
「このクソガキがっ!!!」
がんっ!
ゼフがいつものように偽足をサンジの頭に振り落とす。
「い″っ!なんだよっクソジジィ!」
そんな光景を見ながらヒヨリは、ふと思った事を口にした。
『サンジって、戦えるの…?』
それを聞き取った周りのコックが答えてくれる。
「ヒヨリちゃんの見てるとこではしないが、あいつは喧嘩っ早いぞ!」
「しかも、ムカつくけどこれまた強いからな!」
「あの喧嘩っ早さがあってこそのバラティエの平和だ!なんつって!」
ガハガハと笑い出した周りのコック達の話にヒヨリは、今度手合わせでもしようかしらと密かに思う。
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ヒヨリは、久しぶりに客としてホールの席についていた。
そこにサンジが変な動きをしながら流れるようにスープを持ってきた。
「爽やかな海の香りを貴女に。海藻スープです、レディー。」
『フフッ、ありがとう。いただくよ。』
そう言ってスープを口に入れようとした途端、下劣な笑い声を響かせながら海賊が入ってきた。
「酒だ!酒を出せ!!」
大声を出す海賊の目の前にサンジは立ちはだかる。
「此処は、優雅に食事を嗜む場所だ。」
『そうね。お引き取り願おうかしら。』
今までこの様な事は何回かあった。
その度に、サンジは真っ先にヒヨリを奥に逃がしていた。
今回も逃げるように言ったはずだったサンジは、ヒヨリが挑発的な態度をとった事に驚きが隠せない。
「上玉じゃねぇか。船長!」
「あぁ。えらく美人な姉ちゃんだな。いい金になりそうだ。」
船長らしき人は、ヒヨリの顎を掴み上を向かせ、下劣な笑みをこぼした。
パチンっ
『汚い手で気安く触らないで。』
「「「「?!?!」」」」
サンジを含めた周りのコック達はヒヨリの発言に驚いた。
「気の強い女は嫌いじゃねぇ。」
船長が再びヒヨリに触れようとしたところで、サンジの蹴りが炸裂した。
「だから、汚い手で気安く触るなつってんだろーーー!!」
ドカッ!!