『ONE PIECE』
□『第3話』
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『ん………。』
瞼を開けて、まだ覚醒しきっていない頭を働かせる。
『え?!』
ヒヨリは驚いた。
『此処、海の中?!』
そう、ヒヨリは海の中にいた。
それなのに、息も出来るし普通にしゃべる事も出来た。まるで、地上と変わらない事に自分でも驚く。
しかも、それだけではなかった。
ヒヨリを守るかのように泳いでいる何体かの海王類に目を見開いた。
『え?海王類?もしかして貴方達が守っててくれたの?』
{姫様、お目覚めか。我等が貴女様を守るのは当然の事だ。我等はもう行く。あとは海の精にでも聞けばよい。}
自分が海王類と会話出来た事に驚き目を見開きながらも返事をする。
『わ、わかった。ありがとう。』
“姫様、おはよう!”
どこからか声が聞こえて辺りを見回したが、海の中を泳いでいる魚しかいない。
『おはよう。君は誰?どこにいるの?』
ヒヨリは、誰かに話し掛けるように言った。
“ボク達は海の精だよ!”
『そう。じゃあ、海の精さん、貴方達はどこにいるの?』
“ボク達は見えないんだ。でも、ボク達は姫様のことを見てるよ!”
『クスッ、わかった。それで、私は何で海の中にいるの?』
“姫様は、海に愛されし者だから!”
“姫様、怪我していたから1年間眠っていたんだよ!”
『そう。ローくんは?生きてるの?』
“生きてるよ!”
『良かった……。』
それから、この1年であった事などいろんな事を聞いて、陸まであがっていった。
『フフッ人魚って、こんな感じなのかな?』
陸にあがったヒヨリは、目に見えない海の精に別れを告げて歩くと、後ろから海の精が思い出したように声をかけた。
“あっ!そういえば、東の海には姫様の弟がいるよ!名前はサンジ、会えるといいね。”
『っ?!』
ヒヨリは振り返り、海に向かって、どういうことだか聞いたが返事はなかった。
そして、ヒヨリは決心したように歩き出す。
強い思いを抱いて今、14歳の少女は新しい道を進んでいく。
まさか、弟に会えるなんて思ってもみなかった…
サンジ、貴方に会いたい…
そして私は、強くなってローくんに会いに行く。
((ロシナンテ、私、貴方の約束に生きるよ。))