『ONE PIECE』
□『第2話』
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夜、酒を飲んでいるコラソンに話しかける。
『ロシナンテ、あんまり思い詰めないで。ローくんの病気治してもらえるように私もがんばるから。ね?』
ヒヨリの微笑みは、10歳とは思えないほど綺麗なものだった。
「あぁ、悪いな。ヒヨリも無理するなよ。」
『うん、おやすみなさい。』
「おやすみ。」
*****
『ローくん、もう寝よ?』
ヒヨリは、座っていたローを覗き込むように言った。
「ヒヨリ…。俺、もう病気が治らないことなんて分かってるんだよ。死ぬ覚悟もしてた。」
『・・・・・』
「でも、コラソンとヒヨリとは、離れたくないって思ってる。今は、1秒でも多くヒヨリと一緒にいたいんだ。」
『私も…ローくんといたいよ……』
ヒヨリが泣くのを我慢するかのように噛み締めながら言った言葉。
初めて聞くヒヨリの弱気な言葉に一瞬戸惑うものの、ローは口を開いた。
「ヒヨリ、好きだ。」
『?!』
「返事は要らない。でも、もし病気が治ったら……」
『イヤ。』
ヒヨリの否定の言葉にローは自嘲じみた笑みを零した。
「そうか、忘れてくれ。」
そう言って、寝ようとするローの背中にヒヨリは抱きついた。
『嫌!ローくんが死ぬなんて嫌。絶対治して!私、待ってるから。お願い…。』
「?!…じゃあ、病気を治したら、もう一度言う。」
『待ってる。』
「約束な。」
2人で寝ていると、コラソンが近くに来たようで目が覚めた。
ローは起きていて、コラソンの言葉を聞いていた。
「ごめんな、ヒヨリ、ロー。」
コラソンは、自分が何も出来ない不甲斐なさから、涙を零しローとヒヨリに謝っていた。
ヒヨリからローの顔は見えなかったが、肩が震えている。
そして、ヒヨリは誰にも気づかれないように静かに涙を零した。
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朝、ローの怒鳴り声で目が覚めた。
『2人共、おはよう。どうしたの?』
「ヒヨリ、こいつどうにかしてくれっ!」
そう言ってローの指差した所を見ると、泣きながら喜んでいるコラソンの姿が…
『ロ、ロシナンテ?どうかしたの?』
少し引き気味にきいたヒヨリにコラソンは、すがりついてきて訳を話した。
「ヒヨリ〜!!!ローが!ローが〜!!」
『落ち着いて話して?』
「ローが、俺の事コラさんだって!コラさんって呼んだんだぞ!!」
『そ、そう。良かったね。』