novel
□Murder dependent
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「おはよ渚くん…って、どうしたのその隈」
「え?そんなに酷いかな」
「かなりくっきりついてる…無理しすぎもよくないよ」
「う、うん…」
実をいうと、昨日は全く勉強が手に付かなかった。あの快感が忘れられない。もっと大きな命を奪ってみたいと思った。例えば、近いうち地球を破壊する怪物とか。
「ねえ、カルマくんはさ、なんていうか…物足りなくない?」
「んー、そりゃ毎日つまんないし退屈で欠伸がでるけど、どうしようもないしね…まさか人間を暗殺するわけにはいかないしさ」
「そ、そうだよね…」
そりゃあそうだ、生命を奪うなんて下手したら死刑になり兼ねない重罪だ。絶対にしてはいけないこと、そうわかっていても、せざるを得なかった去年の状況。今の気持ちはこれに近かった。せざるを得ない、というより、したい。わかっていても、したいんだ。それが、普通になってしまったから。
「あ、ここだ、じゃあ…………………カルマくん」
「…ちぇっ、いってらっしゃい」
「うん、またね」
キスをしようとするカルマくんを止めて、僕は電車を降りた。
いつも通っていた通学路は封鎖されていた。僕は仕方なく回り道をした。
…昨日の猫は、どうなったんだろう…。
まだ死んでなかったら、今度は死ぬまで…なんて。
その日僕は、授業を受けながらある計画を練っていた。
罪も恨みもない人物を無差別に暗殺するよりは、少し恨みのある人物を暗殺した方が殺す方としても心地が良い。…そう…場所は椚ヶ丘高等学校…。
プルルルル…
「っあ、カルマくん?…うん、うん…あ、ごめん今日ちょっと用事があって、先に帰っててくれない?…うん…うん、わかった。じゃあ、また明日…わ、わかってるって、うん、僕も…じゃあね」
高校に入学してから、というか付き合い始めてから、カルマくんはやたら大胆というか。好きだの愛してるだのを事ある度に言ってくる。僕はそれが少し不安に思える。
そんな彼には悪いけれど、
「ごめんね、カルマくん」
僕は、すぐさま椚ヶ丘高等学校に向かった。
「あぁ、懐かしいな。と言っても、僕にとってはあまり良い場所ではないけど」
中学校の本校舎を少しの間見ていた。今のE組は、どんな生徒がいるんだろうか。どんな生徒だとしても、彼らはあの旧校舎にBB弾が散らばる生活を知らないんだ。
でも、用があるのはここではない。僕は高校の方に足を向けた。
A組からD組の生徒はほとんど椚ヶ丘高等学校に進学している。クラスもさほど変更はないはずだ。
勉強のために早めに校舎を出る生徒を眺めながら、僕は木陰で身を潜めていた。
「お?…あっれぇ渚くんじゃないのぉwwwこんなところで何してるのぉ?負け惜しみ?残念ながらこの敷地内は関係者以外立ち入り禁止だよ?先生に言ってあげ」
パァン
話しかけてきた元クラスメイトの話を手を打って遮った。崩れ落ちる前に果物用の簡易ナイフで首と身体を引き離した。崩れ落ちた音がしたときには、僕はその場所から去っていた。
「あれ?あんなとこに人が……ひっ…きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
離れた場所からも悲鳴は聞こえた。僕にはそれがクラシック音楽のような心地が良い音楽に聞こえた。
なんて楽しいんだろう。
この時にはもう、僕は止まらなくなっていた。