novel
□Father complex #
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「新一、珈琲できたよ。」
「おー、いつもありがとな。」
「いえいえ。」
ソファに座り本を読んでいる新一に先程煎れた珈琲を持っていく。
新一は振り向いて俺に笑顔をくれた。
新一に告白したのが随分前、説得し続けて遂にこの間同居するに至った。
ただ、1つ悩みがある。
「はぁ…やっぱり父さんの書く小説は素敵だな。」
テーブルには工藤優作が著した推理小説が並べてあった。
そう、新一は結構なファザコンなのだ。
「また読んでんのか…?好きだよなぁ。」
「そりゃ、父さんの書く小説だし。好きにならないやつなんかいないだろ。」
「そ、うか…。」
たまに本当は俺に興味が無いんじゃないかと思うくらいのファザコンっぷり。
一般的に日本男児はマザコンが多いと聞くけど…。
「なぁ、優作さんのどこがそんなに好きなんだ?」
「…全部?」
俺じゃなくて優作さんと付き合えばいいんじゃねえの…と時々思う。
「じゃあ、俺は?」
「え…待って今いいところなんだよ。」
もう泣きそう。恋人が俺に興味無さすぎて泣きそう。どうしたらこいつを振り向かせられるんだよ…これじゃあ片思いんときと変わんねえじゃねえか…。
よりによって恋敵が好きな奴の父親とか…。
「なぁ新一…本当に俺の事好きなのか…?」
「んー…?好きだぜ?」
本を読みながら反射的に返される。好きって言っておけばいい。そう思われてるようで少し腹が立ってきた。
「おい…目見て話せよ。」
「今いいところなんだっ…んっ…。」
強引にキスをする。苛立ってるせいかいつもより荒くなってしまった。
「快斗…。」
「はぁ…なんかむしゃくしゃする。」
そう言って俺は無意識に新一をソファに押し倒した。
「ちょ、離せよ。」
「新一が振り向いてくれたらね。」
「はぁ?一体何の話…。」
新一の言葉を遮るようにまたキスをした。
「快斗…なんか今日変だぞ…?」
(…誰のせいだと思って…。)
自覚のない新一を睨みつける。恐怖を感じたのか新一は俺から目を逸らした。
「振り向くまで、離さねえから。」
そう言って新一の首筋に噛み付いた。
「んあ…っ…つっ…いた、い…。」
新一の透けそうなほど白い首筋から真っ赤な血が流れてくる。それを俺は舐めとった。
「はぁ…っ…快斗ぉ…。」
甘い声で新一が俺を呼ぶ。さっきまであんなに父さん父さんうるさかったくせに。
「優作さんとも、こういうことすんのか?」
「…へ?」
「…こういうことだよ。」
「ひあっ……やぁ…。」
新一の胸にある桃色の突起を弄ぶ。その快感からか、新一が甲高い声で鳴いた。
「ねぇ、やってるの?」
責めるように問い詰める。新一は涙目になっていた。
「す、るわけ…ない…ぁんっ……。」
「どうだか。」
否定する新一を疑う。そんなことあって欲しくないと思っていても、一度疑ってしまうと簡単には納得できないものだ。
もう片方の突起に歯を立てる。
「あぁん…!…やだ…ぁ……。」
ここだけで随分感じるものだ。これなら父親に襲われてもおかしくないな、などと考える。
「ほんと…えっろいよね新一って…。」
そういいながら新一の中心に手を伸ばす。持ち前の器用さでベルトを外し、衣類の中に手を埋めた。
「あ、やぁっ…!だめぇ…そこ…あんっ…。」
右手でソレを弄ぶ。左手はまだ胸の突起を愛撫していた。
「あぁ…!や…んぁっ……ゃん…!はぁっ…。」
絶え間なく新一が鳴く。その声だけでもうイってしまいそうだった。
「そんな淫らな姿…俺以外にも見せてんの?」
「んなっ…わけぇ……んっ…あぁん…っ。」
「本当に?」
擦るスピードが早くなる。それに比例して新一が震える頻度も上がった。
「やぁ…!も…だめ……ひゃん…!あぁっ…!」
新一の足がガクガクと震える。新一ももう限界のようだ。
「イキそう…?…いいよ、出して。」
「んっ…!あぁ…ぁ……ああぁぁあ!!」
新一の身体がビクンと跳ね上がる。それと同時に俺の手には白濁とした液体が飛びかかった。
「はぁ……んぁ…んぅ………。」
新一は息を切らしてぐったりとしている。
「新一…俺の事、好き…?」
疲れ果てた新一を見つめて問う。
新一は息を切らしながら静かに頷いた。
「そっか…、ごめんね。」
新一は顔を隠しながら首を振る。
ついカッとなって新一に酷い事を言ってしまった。こんなにも、愛してくれているというのに。
「父さん…より、か、いとの方が…好き…だから…。」
途切れ途切れに新一が言った。
その言葉で、もうなにもかもどうでもよくなってしまった。
「ふふ、新一大好きっ。」
そう言って新一に抱きつく。
少し言葉を交わしたあと、俺たちはそのまま眠りについてしまった。