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□t/r/i/pA
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『…………ッ』



ヒョンは旅館に着くなり言葉を失った。



『わぁぁぁ〜ヒョン〜〜すご〜〜〜い最高〜〜〜』



俺はそれとは反対にはしゃいで見せた。
部屋を見渡すヒョンの瞳が揺れている。
うんうん、サプライズ大成功。


「俺が今度ギョンスヤと行こうと思ったのに!」って
チャニョリヒョンが煩かったけど、無理やり場所聞きつけてよかった。


と、いうか2人でなんか絶対行かせないけどね。


『ヒョン、ヒョーン!おーーい、』
『……え?』
『聞いてた?』
『ごめん、すごく素敵な所で見蕩れてた』


俺に笑いかけるヒョンはいつも通り可愛いんだけど、
旅行のテンションがいつも以上に
可愛く見せる。


『んん、苦しい、』


衝動的にヒョンを抱きしめる。


『離して』
『んーーヒョンが可愛くて無理』


それを聞いてクスッと笑った彼が、
「ありがとう」と呟いた。


『何が?』
『ふふ、誕生日プレゼント幸せだなって思って』
『うん!これは俺への誕生日プレゼントでもあるからね』
『うん……て、あ!!!!!!』
『!?』



突然思い出したように声を上げるヒョン。


『ジョンイナ大変!』
『なにが!?』
『お前にあげるプレゼント宿舎に置いてきちゃった……』
『な〜んだそんなことか。明日帰ったらくれればいいじゃん。』


そして俺は「それに、」と付け足した。


『ヒョンと2人でここに居ることが十分すぎるぐらいのプレゼントだからさ』
『……僕も』



抱きしめるヒョンの手にキュッと力が入る。
あーーー幸せだ。


おっと、幸せに浸るのもいいけど
俺達には時間がないんだった。
ヒョンの体を自分から離し、
荷解きを始める。



『みんなのプレゼント開けてみなよ』
『ん、レイヒョンの気になる』



海外配送で届いたそのままの箱を、
ヒョンが開けていく。
中身は思いのほか小さい。




『___なんだこれ?』



それはなんの飾りもない、シンプルな小さな瓶に入った液体だった。
色は瓶の色が茶色いせいで分からない。



『レイヒョン何か言ってた?』
『あー…、カイの誕生日に使えって言ってた』
『じゃー使ってもらわないと』
『え、でもどうやって使うか分からないよ?』
『何か意味があるんじゃない?』



首を傾げるヒョンも可愛いなぁ…。
俺は心の中で笑った。
そしてわざとジョンデヒョンのプレゼントを指す。



『これは?』
『あ、それはジョンデからのやつ。一人の時に開けてって。』
『開けていい?』
『うん、』



ラッピングを解く俺の隣で、
何が出てくるのかじっと見つめるヒョン。
出てきたのは英語が印字された20cm四方の黒い箱。
箱を開けてみると、
なめらかな曲線でつるんとした触り心地。
波打つような形の突起がついた本体と、充電器らしいコード。
よく見ると電源ボタンもある。
説明書も英語だった。
「なにこれ?」と全く検討のついてないヒョンだったけど、
見ていくうちにこれがどんな物なのかわかり始めたみたい。



『……これは……』
『ジョンデヒョン、えっろ。
俺これ知ってるよ。アナニー用でしょ?』
『ッッ』
『ヒョンが忙しいからって配慮かもね〜』
『……』



そう言って俺は彼の目の前で電源ボタンを押してみた。
機械音と共に、突起部分が激しく動き出す。
ヒョンは顔を赤くさせて、俺の手からそれを奪いとり、
すぐ箱に戻してトランクの中へと突っ込んだ。




『僕お風呂入る!』
『あ、俺もー!』



__予定通り。
俺の誕生日プレゼントの始まりだ。





















翌日




『ただいまーーー!』
『おーーーおかえりー!うわっ、ジョンイナ艶々してんなオイ』
『でしょ』
『ギョンスヤー……は、なんか怒ってる……?』
『……別に。レイヒョンとジョンデに話がある』
『あ、レイヒョンまだ中国』
『じゃージョンデ』
『今CBX居ないんだよね』
『〜〜〜〜〜っ』



媚薬と大人のおもちゃをプレゼントした2人に抗議がしたかったヒョン。
その苛立ちは行き場をなくした。



『どーだった?』



自室に向かうヒョンを横目に、チャニョリヒョンとセフニが寄ってくる。



『いや、最高〜〜っした♡』
『パンツは?パンツは?』
『あれ正解!』
『で、で、効き目は?』
『まーまーそれなりに』
『あのおもちゃは!?』
『まーまーまーまー』
『うわっ、なんだよ詳しく教えろよな』
『いやいや無理ですってば。』
『なんでだよ!俺らも協力しただろ?』
『だってギョンスヒョンがめっちゃ聞いてるんだもん』
『『』』



俺に群がる2人の後ろで、
ギョンスヒョンが鋭い目付きで睨みつけていた。
「それ以上話すな」の顔だ。



『ジョンイナ』
『………はーい』



ともかく、今回のヒョンへの誕生日サプライズは成功に終わった。
一部メンバーにお願いして、俺が決めたプレゼントをわざと贈ってもらい、
旅行という2人きりの時間と空間を作り、ヒョンを何時間も堪能することが出来た。
今年はそれがメンバーから俺への誕生日プレゼントだったんだ。
来年も再来年も、こうして特別な誕生日を過ごせますように。




♡HAPPY BIRTHDAY KAISOO♡




Fin♡





(t/r/i/pBに続きます♪)




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