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□君の声が聞こえるから
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____ん、
誰か泣いてる……。




遠くで誰かの泣き声が聞こえて、耳をすませる。



__ギョンス?



ゆっくり目を開けると、
そこには俺の手をぎゅっと握りながら、
ぽろぽろ涙を流すギョンスがいた。



『……!』


俺は驚いて、一気に目が覚める。



ギョンスヤ、なんで泣いてるの?



『……あ、起きた。』


グスッと鼻を啜るギョンス。


『……ごめん……』


___え?



『……やっぱ、後悔してる、なんであんなくだらない事で怒ってたんだろうって……。
チャニョリが、……こうなったのは僕のせいだ…。
しばらく僕の事呼ぶなって……、呼ぶなって、言ったから……』



ギョンスの声が段々と小さくなり、
さらに目からは大粒の涙がこぼれた。




___違うギョンスのせいじゃない…!



『……お前なんか、嫌いだって……言ったから……っ、』




俺はギョンスの涙を指で拭った。




『チャニョラ……っ、声が、……お前の声が聞きたい……
またチャニョラ、に、名前呼んでもらいた、い。
お前の、歌が聴きたい……一緒に、歌いたい……っ』



ぎゅううっと胸が鷲掴みされるように切なくなった。
ギョンスの想いがものすごく伝わってくる___




俺だって、
___俺だって……!



もう一生ギョンスの事呼べないなんてやだ……っ!


言えない代わりに、きつく抱きしめる。



__ギョンス、
__ギョンス、
__ギョンス……!






『……もし、』
『?』


幾分落ち着いたギョンスが話し出し、
俺は力を緩めた。




『もし、もしもだぞ?お前がずっと喋れなくても、
僕が一生側にいるから、安心しろ。
僕が生きてるうちは、ずーっとずーっと側で介抱するから。だから、』



今度はギョンスが俺をきつく抱きしめる。
そして、いつものように優しくキスを落とした。



『……今は、何の心配もせず、しっかり休めよ』



___ああ、ギョンスの声が体に浸透していく。
いや、声じゃない、「愛」だ。
今までも充分わかってたつもりだったけど、
ギョンスの深い愛を再確認した__。



___ギョンス、
ほんとに、ほんとに___




『大好きだよ』
『……うん…………』




『…ん!?』
『え?』
『お前今なんて言った?』
『……大好きだよ、って…………って、あ?あれ!?!?』



___俺喋れた!?!?



『あーーーあーーー、
う、うお!?な、なんでだ!?喋れた……!』



____喋れた!!!!!!!!




『チャニョラ!』
『ギョンスヤ!!!!』



俺らは抱き合ってベッドの上をごろごろ転がった。
ギョンスが嬉しそうに満開の笑顔で笑う。


『うううう、やばい、俺すっげホッとした……
もう一生歌えないかと思った……ギョンス……
ギョンスのおかげだよ、うわ、やべ、グズっ』
『泣くなってもう』
『うっ、おう、』
『チャニョラ、メリークリスマス』
『』


まだ話せた感激に浸る中、
ギョンスは俺の目の前に箱を見せた。



『なにそれ』
『ケーキ』
『ぶっ』
『笑うなよ、時間なくてこれしかマネヒョンに頼めなかったんだ』
『ちがくて』
『?』
『待ってて』



俺はギョンスを待たせ、キッチンにある物を取りに行く。



『じゃぁぁぁぁぁあん!!!』
『なにそれ』
『ケーキ。俺の手作り!!!』



____そう、今日はクリスマス。
宿舎から出られなくて暇だった俺は、
ギョンスを驚かそうとケーキを作っていたのだ。



『ぶっ』
『だろ?笑うだろ??』
『お前これ作ったの?』
『おうっ、すっげぇ時間かかった!!キッチンもぐちゃぐちゃ!』
『……ふは、』
『へへ』








『ギョンスヤ〜』
『』
『ぎょーーーんすやーーーー』
『』
『ギョンスヤァァ』
『』
『おいギョンス!』
『』
『ぎょん!す!や!』




今回の出来事は、神様のイタズラとしか思えないけど、
俺らには十分にいい教訓になった。


ギョンスは今日も絶賛シカト中。
だけど前よりもわかったことがある。


ギョンスはこうやって俺に呼ばれるのが好きなんだってこと。


で、俺も気付いたんだ。
こうやってシカトされながら
何回も愛しい人の名前を呼ぶのが
___俺の幸せなんだってこと。





『…あ、振り向いた』
『へへ』





Fin♡



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