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□好きだけど好きだから
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『パクチャニョルと仲いいの?』



下校時刻のチャイムが鳴り
次々と生徒が教室を出て行く中、
帰り支度をしながら
思い切ってベッキョニに聞いてみる




『あー物理の時間席が隣でさ、なんか意気投合しちゃって』
『…へぇ、そうだったんだ』
『お、噂をすれば』
『?』


ベッキョニは窓の外を指す

その先には見慣れない制服の女の子達と、
その子達に囲まれるチャニョル___


すると突然ベッキョニは窓を開けた


『ちゃーーーにょらーー!\\ヒューヒュー//』
「ばっ、ベッキョナ黙れ!」



ベッキョニの大声に、
チャニョルは顔を赤くして答えた



『あははwあいつモテるよなぁ〜顔面がいいからな顔面がw』
『……』
『他校からもチャニョルに会いに来るってどんだけだよwww
あ〜あ、俺もあんな顔面良く生まれたかったわー』


チャニョルに向かって手を振りながら笑って言う


でもベッキョニだってモテないわけじゃないんだよ?


何度か告白されることもあったのに、
可愛いだけじゃダメとか、背が高いとか、
そんなんばっかりで、なかなか彼女できないんだよね



______チャニョルはどうなんだろう




1年のとき、2個上の先輩とちょっとの間付き合ってたけど、
(チャニョルは全校生徒の注目の的だからすぐ噂が広まる)
今は彼女居ないみたいだし…………


やっぱり清楚で可愛らしい、” THE 女の子 ‘’ みたいな子がタイプなのかなぁ……



『ギョンス…!』
『……え』
『またボーッとして……なんなのほんとに。』
『あ……ごめん』
『ごめんとかじゃなくて!…なんかあったんなら言えよな…』
『……』
『親友だろ』


バシンっと背中を一喝される


『……うん、ありがと』




「チャニョルが好き」



そう打ち明けたら、ベッキョニはなんて言うだろう___








ーーー翌日



『せんせーーー!パク君の座高が高すぎて黒板が見えません!』
『ベッキョナてめーふざけんなよwww』
『だってホントの事だろーがwwwお前いつも最後列にいろし!』
『あーーしょうがないな、パク、お前ビョンと交換しろ』
『…ほーーーい』
『あと、そうだな、特に視力に問題ないならパクは最後列限定にしよう』
『wwwwww』


どっと教室が湧き上がる


くじ引きでの席替えで、ベッキョニとチャニョルは前後の並びになった


僕はベッキョニと横列が一緒だけど、
向こうが窓側に対して、僕は一番遠い、廊下側だった


チャニョルと席近くになるかも、なんて
ちょっと期待してたんだけどな




席替えしてからと言うもの、
授業中から休み時間まで、
ベッキョニとチャニョルの仲の良さがどんどんと深まっていくように見えた


それを見た僕の心は、なんとも言えない物苦しさが付き纏う


でもチャニョルの事は自然と目で追ってしまうし、
ベッキョニと騒いでれば、その煩さで嫌でも目が行ってしまった



『ギョンス、元気ねーの?』
『え、なんで、…あるよ』
『っそ、おっきなため息付いてたから』
『え、ため息付いてた!?』
『はぁ、無意識な。なんかあったんなら言えって言ってんのに』



放課後、図書委員会に向かう時
ベッキョニに話しかけられる



____ベッキョナ、ちょっと怒ってる…………



僕を心配してくれての事なのはわかるけど、
まだこの悩みを打ち明ける心の準備ができてないんだ




『ベッキョナーー途中まで一緒帰ろうぜ』



そこにチャニョルが入ってくる



『…あ』
『おーチャニョラ、悪ぃけど俺ギョンス待ってるから』
『…ギョンス?』



チャニョルの視線が僕に移りドキっとする



『あ、…、ベッキョナいいよ、先帰ってて』
『いや、待ってる』
『え、ほら、結構待たせるかもしれないし…』
『待ってる!』
『…』
『なんだよベッキョナ、
図書委員さん先帰っていいって言ってんじゃん、帰ろーぜ』
『そ、そうだよベッキョナ。じゃ、僕行くから………あっ』



2人に背を向けたタイミングで、
手に持っていたペンケースが床に落ち、咄嗟に拾おうと屈む



『『ッテ…!』』



その瞬間ゴツン、と頭に衝撃が走り、
ペンケースは頭がぶつかった相手の手が持っていた



『ご、ゴメン!へーきか!?』
『 ____っ 』



至近距離にチャニョルの顔が見え、
息が止まる


チャニョルの大きな手からペンケースを受け取り
屈んでいた体を元に戻した


その時間は一瞬だったけど、
僕にはスローモーションのようにゆっくり感じられた



『あっははww何してんだよwww』



ベッキョニの声でふと我に返る



『……あ、ごめんね、ありがとう!じゃ!』




ろくに顔も見ずに逃げるように走って階段へと向かった




____顔が熱い……………
きっと今真っ赤だ___
あんな至近距離でこんなみっともない顔をチャニョルに晒すなんて……!






ドキドキと鳴る心臓がようやく落ち着いたのは、
委員会が終わった頃だった




『ベッキョナ?……いない』



自分の教室を覗いてみると、
待ってる と言ったベッキョニの姿はなかった



____チャニョルと帰ったのかな





ズキン




胸が痛いような気がする



先に帰っていいって言ったのは僕だ


それにあの2人は恋愛とかそういうんじゃなくて
ただの友達同士として仲がいいだけなんだ



僕が胸を痛ませる理由なんて、あるわけないんだから____




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