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□何度も言うよこれが運命だから
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『はは、ギョンスは美人ってよりもかっこいいけどなぁ』
そう言って恋人は僕の髪を撫でた
彼に膝枕をされ、上から注がれる柔らかい笑顔に
言いようのない愛しさを噛みしめる
『ジュンミョニヒョンこそ美人だよね』
頬に手を伸ばすと彼の手が優しく添えられる
僕がジュンミョニヒョンを知ったのは高校生の時
特に目立った生徒ではなかったけど、
色白で今にも消えてしまいそうな雰囲気で
ただただ綺麗な人だと
遠くから見つめていた
喋ったこともないのに
僕はこの人に恋に落ちていたんだ
ジュンミョニヒョンが卒業して
どこに進学したのかもわからず
偶然見かけるなんてそんな事もなく時間が過ぎ
僕自信も大学に進学した
子供の時から習っていた英語を活かそうと、
教員免許を取るためだった
大学に入り、友達も増えたけど
高校の時のようにいつも連れ立って遊ぶ事もなくなり
程よい友人関係が心地よく、僕は大学生活を満喫していた
そんな中ジュンミョニヒョンにまた会える日が来るなんて___
運命だとしか思えなかった
だから再会できたそのチャンスを絶対に
逃すわけにはいかないと、珍しく猛アタックを仕掛けたんだ
何度か遊びに出かけるうちに
彼も徐々に心を許してくれた
ヒョンは高校の時と変わらず綺麗で、
話してみると意外とおっちょこちょい
どこか抜けていて頼りなくて
でもだからこそ守ってあげたくて__
ものすごく緊張した告白は
すぐにOKが貰え
ダメかもしれないと腹をくくっていた僕は
拍子抜けしたのを覚えている
それから順調に付き合っていた僕達だけど
今年の春から遠距離恋愛をしている
定期的に転勤のある会社に勤めているヒョンと、
こっちの小学校に就職の決まった僕
いまさら内定を辞退する事はできないし
ヒョンが2、3年でまた戻ってくるという
期限付きの転勤だったから
会いに行くのにはお金も時間もかかる
だから僕の長期休暇の時にだけ会いに行く約束をしている
今は僕の冬休み___
残念ながら年越しは一緒に過ごせないけど
クリスマスは2人で過ごして
プレゼントも交換し合った
でもそろそろ帰らないといけない時間
3泊4日なんてあっという間だ…………
『ヒョン、そろそろ行くね』
『…え、もうそんな時間?』
『うん』
『そっか……』
寂しそうに俯いてしまったヒョンの頬を包み
軽く唇を触れさせる
寂しさを吹き飛ばすように、
次会える時まで頑張れるように、
無言で抱き合った
___別れ際というのはどうしてこんなにも寂しく切なくなるんだろう
胸の奥が急に重くなる
2人の時間が楽しすぎて幸せ過ぎて………
このまま離れたくない、でも行かなくちゃいけない___
毎回この苦しみを乗り越えて
僕は自宅へと帰っていく
次会えるのは桜の咲く頃_____
大丈夫、月日が経つのなんてあっという間なんだから
恋人を励ましつつ、
僕自身もその言葉で自分を奮い立たせていた
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