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□何度も言うよこれが運命だから
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翌日
『ふあぁぁあ』
大きな欠伸を1つ、
寝起きで頭を掻きながらゴミをまとめる
今日は遅番出勤だからこんなに早く起きる必要はないんだけど
朝8時までに出すという
自治体の決まりに従う俺___優秀だろ?
髪はボサボサのパジャマ姿のまま
クロックスをひっかけ
ゴミ置き場へ向かう
一人暮らしだしそんなにゴミも出ないんだけど
職業柄ゴミを溜めておきたくないんだよな
集合住宅用の決められたカゴの中にゴミ袋を収め、
昨日の朝の出来事を思い出しながら通りに目をやった
『『………あ、』』
そこに昨日の彼がこちらに向かって歩いて来て
お互い同じタイミングで声を発した
___嘘だろ……!また会えた………!
『あ、…あ、昨日はっ、どうも…!
あっ、あのっ、ドギョンス…さんですか…?』
またペコっと会釈をして通りすぎようとする彼を引き止めたくて、
昨日定期を拾ってくれた人の名前を一か八かぶつけてみた
『…え…なんで名前』
彼は驚いたように目を大きくさせ
落ち着いた低い声で言った
__よっしゃビンゴ♪
『定期!届けてくれましたよね!?』
『あぁ〜パクチャニャルさん?』
『そうそうそれ俺です!!ありがとうございました!助かりました!』
『いえいえ良かった。きっと転んだ時に落ちたんですね』
『あの…大丈夫でしたか?怪我とかなかったですか?』
『ああ、全然。かすっただけですから』
『よかった〜〜ごめんなさい!もう飛び出したりしません!』
『はは、はい、そうしてください』
『あ!先生〜〜!』
そこで後ろから通学途中の小学生がこちらに向かって手を振った
彼は振り返り「車に気をつけて〜」と声をかけ、また俺に向き直った
『先生なんですか?』
『はい、そこの小学校の。』
『へぇ〜そうなんですかぁ。いや〜美人な先生ですねぇ!』
『は?』
『父兄に人気ありそうですね〜いやぁ、こんな美人な先生の授業なら俺も受けたいなぁ』
『…………………』
彼は眉間にシワを寄せ
ムッとした表情になり黙ってしまった
『あれ?ギョンス先生?』
『………失礼します!』
『あ…、せんせ…』
くるっと俺に背を向け
スタスタと心なしか早歩きで遠ざかって行った
___やべ……怒らしちゃった……
俺、失礼だったかな……?
正直に伝えすぎた?
うわぁぁでもホントなんて素敵なんだ…!
年上かな?年下かな…?
先生かぁ、似あうなぁ
つーかまた会えたじゃん!!
これってもしかして運命…だったりして
『ひひっ』
また会えた嬉しさでニヤニヤしてると、
道行く小学生と通勤中のおっさんにジロジロ見られてしまった
『さー今日も頑張れそうだ♪』
晴れた空に伸びをして
自分の家へと戻った
『〜♪〜♪〜〜〜♪』
『ね〜、最近さぁ〜、チャニョラ絶好調だねぇ?』
『えっ?へへへ〜わかります?』
ランチも終わり、店内が比較的空くと
レイヒョンが俺の顔をじっと見つめて話しかける
『なんかいい事でもあったの?』
『ふふ、』
『なに〜?気持ち悪いよ〜』
店内に入ってくる客に「いらっしゃいませ〜」とほわほわした笑顔を振りまきながら
レイヒョンは続きを聞こうとする
『……あ、でも言わなくてもわかるよ』
『え?』
『恋でしょ絶対!』
『おっ、ぴんぽーーん♪』
「たらこ2でーす」
『はーい!』
バイトの子のオーダーに返事をし、
それぞれ所定の位置に戻り調理を始める
『やっぱりなぁ〜、なんか輝いてると思ったんだよ〜』
『へっへっへw』
『どんな子?今度お店連れておいでよ〜』
『いや、まだ全然そんなんじゃなくて、2回しか会った事ないんす!』
『へぇ〜!じゃあ一目惚れだ!』
『そうすね〜そうなりますね〜〜』
『ふふ、顔がニヤけてるよぉ〜』
「ほうれん草、カルボナーラー」
『『はーい』』
『頑張って連れておいで、ね?』
レイヒョンはウィンクすると
オーダーの調理に集中した
____連れてきたいけどさ
連絡先も交換してないし、
また会える保証なんて
…ひとつもないんだよなぁ
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