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□あなたの最高の誕生日でありますように
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『ギョンス君、海外決まったわよ』
『え…ほんとですか!』




志願していた海外チームへの参加が決まり
僕は浮かれていた



仕事としてもちろんやりがいのある内容に
携われるのに生きがいを感じるし


それと同時にチャニョルに会わなくなる事に
ホッとしていた





渡航はあいつの結婚式の後で、
見たくもない晴れ舞台を見届けなくちゃいけないのは残念だ





急に呼び出されたその日



午後に大事なミーティングを控えていたけど
同僚に全てを任し早退した


いつもいつも
会いたいと願う毎日に



突然こうやって連絡が来ると
どんな用事があっても投げ出してしまう_____


そんな自分が恐かった




でもいい



結婚式でろくに話も出来ないまま
会えなくなるよりは



今日一緒に食事でもできる方が



ずっといい








彼にホテルに連れてこられて
まさかとは思ったけど


彼の熱を持った視線に気付いた時



嬉しい気持ちと
気付かなければよかったのにと
思う気持ちと



複雑だった




ヌナは僕の上司でもある
はじめっから彼氏として紹介されてたから
この2人の間を割って入るだなんて考えた事もなかったし
ここまで自分がチャニョルを好きになってしまうとも思ってなかった





多分彼は
僕がチャニョルの事を好きだなんて
まったく気付いてないだろう



それでいい



こうやって身体の関係を持っても
限られた今の時間だけ______




好きじゃなくても身体は重ねられる




結婚前に遊びたかった



たまたま僕を選んだ




そうでしょ?




特別な思い入れなんかあるわけない






そう思いたかったけど








彼の言葉から


触れる指先から



愛しさが伝わってしまった








好きだなんて言わない



言ったらチャニョルは結婚出来なくなるから




好きだなんて言わせない




僕が壊れてしまうから






今だけ





今だけチャニョルの全部を感じて
恋人気分を味わおう










誕生日おめでとう


お幸せにね



Fin
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