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□On the day of rain
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また今日も雨か…………



空がどんよりと暗いせいで、僕は少し寝坊した
僕の仕事は1階のカフェ

もともと祖父が経営していたのを、
僕が引き継いだんだ



僕は祖父のようにおしゃべり好きでもなく
どちらかと言うと人見知りな方で、
祖父の代から来てくれているお客さん以外は
あまり足を運ぶ人はいない




開店の印の看板を出す為、
傘とイーゼルを持って店外へ出た



ザーザーと降りしきる雨は
昨日よりも強いみたい



お客さん来るかな…………



傘を肩に乗せて差したまま
看板のメニューの手直しをした


今日の日替わりパンはミルクロール
もちろん手作り



メニューを書き終えると
いつの間にか店の前に誰か来ていたようで

僕の傘からその人の足元だけが見えた



……あ。サッカニーのスニーカー…
僕が欲しかったやつだ……




目線を徐々に上へと向けると
その人とバチッと目が合った




『あ、、いらっしゃいませ』

『…それ、もうできてますか?』


僕の今書いたばかりの
ミルクロールを指して言った


『はい、出来立てご用意できます』


その人はニコッと微笑んだ後
店内へと入って行った


わぁ…すごいイケメンさんだ。
スタイルが良くて、白いTシャツがよく似合ってる
………モデルとか、かな?




僕も急いで店に戻りレジにつく




『飲物で、1番甘いやつはどれですか?』
『甘いやつですか?えーと、コーヒーでですか?』
『んーコーヒーじゃないのもあります?』
『チョコレート系なら』
『じゃあ冷たいのでください。それとさっきの』
『はい、ありがとうございます』



コーヒー苦手なのかな?
カッコイイ容姿とは逆のイメージで
なんだか可愛らしい



『お待たせしました』


出来上がったものを
席へ持っていく


『モデルさん…ですか?』
『……そう見えますか?』
『いや、スタイル良くてカッコよかったので…』
『ふふw ただの大学生です』


僕、なんで話しかけちゃったんだろ…
いつもは自分から話しかけたりしないのに…


『ギョンスヒョン、覚えてないの?』
『え…っ』


なんでこのイケメンさんが
僕の名前を知ってるの…?


目を合わせたまま
どこかで会っていたかと
記憶を漁る


『じーちゃんち来てる時、よく遊んだのに』
『…え…………』


子供の時から確かにここへよく遊びに来ていた
そこで思い出す_____


『…あ、ジョンイナ…??』
『思い出した?』


祖父のカフェの隣近所に住んでいて
僕が夏休みに泊まりに来た時は、必ず一緒に遊んでいた

小学校高学年からは祖父の家へ来ることも少なくなり、
それきりになっていた

でも彼はその頃とは見違えるようにカッコよくなっていて
全然気づかなかったのだ



『じーちゃん死んだって聞いて、
店どうなったか気になって来てみたんだ。
そしたらヒョンがいるから驚いたよ』
『…うん、お祖父ちゃん3年前に亡くなったんだ。
ジョンイナは引っ越しちゃったの?』
『俺だけね。』
『そっか………久し振りだね
会えて嬉しい』


やはり雨のせいか他のお客さんが来る様子はなかった


『………ヒョン』
『?』
『小さい時の約束は覚えてる?』
『…………なんだっけ?』
『大人になったら結婚しようね、って』
『…ぇっ…ぼ、僕そんな、約束した…?』
『やっぱ俺だけか〜覚えてたの』



少し肩を落としたジョンイニは
ま、いいや とまた僕を見つめて続けた



『まだ有効だからね』
『…え…っ』



ジョンイニは立ち上がって
僕の頬にキスをした


『…っ、ちょ…!』
『あははw』



そういえば小さい時から
ジョンイニのペースに僕が振り回されてた気がする


でもそれが楽しくて、
ジョンイニが大好きだった



今も、有効だと言ってキスをするジョンイニに
僕は悪い気はしてないんだから____________






Fin♡

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