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□学校生活の教え
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『いってきまーす』
『はい行ってらっしゃい!母さん今日も帰るの遅いからねー!』
『んー。』


時間通り家を出て
電車に乗るけど、学校へすぐ向かうわけじゃない。
特に今日の1、2限は嫌いな選択英語だから。



途中の広い公園の芝生で寝っ転がり
時間をつぶす


俺の日課


この時間ここは穴場で、
だーれも近寄らない。





〈お前今日はサボんなよ?〉
〈単位落とすぞ〉



……ご丁寧にどうも。


同じクラスのやつからのメールに、
その場で頭を下げ
返事は返さない


あーーーー
もー学校とかめんどくさいんだよな。


もう働いた方がマシなんじゃないか?



制服のブレザーを顔に被せ、
そんなことを考えながらボーッとする




『…いた、パクチャニョル』


どこかで聞いたことがある声のそいつは、
ブレザーを奪って俺をのぞき込んだ


『………だれ?』
『ふはっw 誰って、わからないの?』
『…………?』
『同じクラスなのに?w
なかなか酷いね。でも寝てばっかだからしょうがないかw』


起き上がって
ちゃんとそいつを見ると
やっぱり見覚えがある____


『____あ。副会長…』
『あたり。ドキョンスね』


低い声で静かに言うと
片方の口角が上がった


___そうだ。
いつだったか体育館の舞台の上で見た事がある。おとなしそうな見た目で、生徒会なのを誰もが納得するような…


『ほら行くよ学校。』
『え』
『え、じゃない。迎えに来たんだ』
『はw なんでまた副会長さんが』
『まー別にいいだろ。そろそろ行かないと1限に間に合わない』
『は?ここからじゃもう絶対間に合わないだろ』
『いや?間に合う。来なよ。』


訳がわからない。
でも正直反発するのも面倒で
おとなしく付いていく


公園の道路に面した所に連れてこられると、そこには1台の単車。


『!?………副会長さんの!?』
『うん』
『は?だってバイク通学ダメなんだろ!?』
『うん』
『うん、って…生徒会がそんなんでい…』
『うるさいな。まぁ乗りなよ』


また口角を上げて
ヘルメットを差し出す。


うるさいってなんだよ…!



俺は腑に落ちないままメットを被り、
後ろに乗った。



『ちゃんと掴まってろよ』


力強い副会長の手が
俺の腕を引っ張り、
お腹に手を回される


『お、おう』



返事をした次の瞬間
けたたましいエンジンの音が
響き、風を切って走り出す








数分後、バイクが停まった場所は
学校の真上の雑木林


こんなところがあったんだと驚く


ここから学校は
見渡せるのに、学校にいると全然目に入らないんだな、と不思議に思いながら
バイクを降りた


『ね、間に合ったでしょ』


携帯の時間を見ると1限が始まる時刻の10分前だった。これじゃぁどんなにゆっくり歩いても間に合ってしまう。


『選択英語でしょ?ちゃんと授業出るんだよー』



僕の手からサッと
ヘルメットを取りバイクに繋ぐと、

そのまま学校の方へ
向かってしまった



……な。なんなの?
副会長。



俺を迎えに来たと言った割には
必要以上話さないし。


教室の最後まで見送ったりはしないんだ?



今ここからまたサボることもできるのに?



『ハハッww おもしれwww』




そのあと教室に行けば
チャニョリが1限から来た!と
さっきのメールの送り主、ベッキョンに騒ぎ立てられた



『ほら、お前今日来なかったらやばかったんだぞ。』



ベッキョンが出席簿を見てカウントしてたらしく、落とさなくてよかったな、と得意気に話し自分の席へと戻って行った



____そっか。
俺にとって落としても落とさなくても
どうでもいいことではあったけど、
心配してくれたベッキョンにはちゃんとお礼を言わないとな。


……副会長も、
この事を知って迎えに来た…のかな。







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