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□学校生活の教え
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『うぉーーーーーーーっ!なんだここ!』



副会長が俺を連れてきた場所は、
どっかのひろーい高台の丘。

学校を出てから結構走ってたから、
バイクや車じゃないと来れない距離だ



『やっばい!景色!!』


遠くまで見渡せ、
ちょうど夕暮れの時間帯で
空は赤と青と黄色と
いろんな色のコントラストを創り出していた



『ちょうど良かったね時間』


景色に夢中になる俺に、
ここ座ろ、と目で合図する


『副会長やばい!ここよく来んの?』
『たまにね。気に入った?』
『おぅ!すっごい!』



副会長はガサガサと、さっき買ってきた袋の中のジュースを渡してくれる


『さんきゅ』
『……よかった。』
『?』
『元気出たみたいで』
『……ぁぁ。』
『なんかあった?』
『……………』
『…話したくないなら無理に聞かない』


副会長はそう言うと
コロンっと寝っ転がった


俺も真似して隣に寝っ転がる


『なんでお前学校あんま来ないの?』
『…なんとなくつまんなくて』
『…ふーん…つまんない、かぁ』
『副会長はなんで生徒会なんかやってんの?めんどくさくね?』
『それがなかなか楽しいんだよ。運営が好きなんだ』
『へぇ〜。すげーわ。』
『パクチャニョルは何が好きなの?』

と、そこまで
お互い夜に変わっていく空を見上げて話していたけど、副会長が横向きになり俺を見て質問した


俺はそんな副会長と目が合うと
なんだかいたたまれない気持ちになり、
また空を見上げて答えた



『好きなもの…かぁ。楽器かな』
『……あ。ギター!』

突然何かを思い出したように副会長は続けた

『1年の時の音楽のギターのテスト!覚えてるよ』
『え…?』
『すごいうまかった!』


そういえばそんなテストがあったな、くらいの記憶だったけど、すごく印象に残ってたみたいでその時の状況を話し始めた


『上手いからてっきり軽音楽部なのかなって思ったんだよ。』
『そ、それはどうも…。てかそんな前から俺の事知ってたの?』
『…?そうだよ。チャニョラは最近だもんね僕の事知ったのw』


___ドクンッ


『……え?』
『…ん?聞こえなかったの?』
『ううん…今チャニョラって』
『うん、チャニョラ』
『……………………』



“チャニョラ”



目の前には副会長の
おっきな瞳。
ハートの口。
俺を見て微笑んでる。


『チャニョラw 顔赤いけどw』
『い、いやっ。だって副会長が不意打ちする、から』
『ははっ。…かわい』
『えっ?』
『ううん。なんでもない』



愛称呼びされたぐらいで顔赤くして、俺めちゃくちゃ変な奴じゃん…!

はっず……


平常心平常心。
元に戻れ顔!



そう言い聞かせてると、
急に視界が悪くなり
その代わりに副会長の前髪が額に当たった


と同時に
唇に柔らかい感触____



…………………え?



待て。近いぞ。
え?
じゃなくて…。
え? キス…?



え?キス????












『んんんん゛っ!』



自分の状況を理解して抵抗するも、変な声が出ただけ。
だってしょうがないだろ、
口塞がってんだから。

口がダメなら手だ。
両手で副会長の胸を押すと、
簡単に唇が離れた




『副、っ会長…なにして』
『違う。』
『…!?』
『ギョンスヤ、でしょ?』
『え…いや、あの…っ俺』
『ギョンスヤ、でしょ?…呼んで?』


俺はなんでキスしてるのか聞きたいのに、副会長は答えずに、大真面目な顔で自分の名前を呼ばせようとする


『…ギョンス…ヤ…』



訳がわからないけど
言われるまま名前を呼ぶ


と、また顔が近づき
唇にさっきと同じ感触が訪れる



今度は押し付けられるだけじゃなく、
俺のを上唇と下唇で挟みながら
何度も触れる

そのうちに湿った舌が俺の唇をなぞり始め、そのくすぐったさに身じろいだ。

その動きも
副会長が俺の肩を抑えてる事で
なかったことにされるんだけど。


『…ふ………ン』



自分でも聞いたことのない
鼻から抜ける声


息を吸うために少し口を開けると
酸素と一緒に副会長の舌が入り込んできた


『…っふ……あ…』



その生暖かい舌は
ゆっくりと俺の中で動いて、
頭の先のほうがジンジンし始める


気持ちいい…



待て。
キスは男女間でやるものじゃなかったか?
え?こういう遊び?
てかなんで俺黙ってキスさせてんの??



『…ぁ………』




考えようとする頭を、
副会長の舌が邪魔をする

相変わらず俺の口からは
鼻から抜ける声。


自分で言うのも何だけど
キモイ…



『っはぁ…』


突然唇が離れ、
俺は離れていく副会長を目で追った



『チャニョラ、キス初めて?』
『…っ…!』
『わかった。こんなキスは初めて、でしょ』
『....………』



俺はまた火がついたように
顔に熱を感じる


『図星?w』
『……………図星。』
『ははっ チャニョラって正直だねw』



俺の恥ずかしい気持ちとは正反対に
副会長は至って楽しそうだ。

そーだよ中学ん時
付き合ってた子と触れたか触れないか位の、かわいーいキスの経験しかないですよ
______自分でも気にしてたのに。


副会長は俺なんかよりずっと経験豊富なようで?


悔し…………。




『チャニョラ』
『?』
『僕とこういう事してもいいんだったら、明日いつもの公園で待ってて』
『え!?は?いやいや…していいわけな…』
『…もうしたくないなら1人でちゃんと学校行けよ?』
『…いや、だから俺…っ』
『…いつも通り迎えに行くから。明日お前が居なかったら…もう迎えに行くのやめる。』




それって。



………………副会長は
また俺とキスする気があるってこと…?
だよな




『チャニョラ、軽音楽部入れば?』
『…え?』



さっきのキスをまだ消化できないでいる俺は、何事もなかったように話始める副会長についていけない


『な、んで?』
『だって楽器が好きならさ。入ればバンドも組めるじゃん。……学校が楽しくなるかも』
『…………………』




副会長は…
なんで俺なんかに構うんだろう






『…帰ろっか。すっかり暗いし。
チャニョラ門限とかないの?』

何も答えない俺にごめんと謝り、
そう切り出した

『え…あ、俺んち両親仕事で夜遅いんだ』
『そっか、なら良かった』





副会長に家の近くまで送ってもらい
帰宅した後


飯食っても
風呂入っても
テレビ見ても
ベッドに入っても


副会長のハートの唇と

感触と

副会長の言葉が


頭の中でぐるぐる回る





明日俺はどうする?
副会長はどうしたいの?
なんで俺キスされたの?
あ!また連絡先聞くの忘れた………
知ってれば今からでも連絡して聞くのに…



…もうすぐ日付が変わる____








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