記念story

□10,000!
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「聞いてください、紡さん!」
「どうかしました?」


屋上に着くなり、私は紡さんに意気揚々と話し掛ける。
早く言いたくて仕方なかったことが、やっと言える。


「‥‥実はですね‥」
「「この前の記事が、社長に褒められた」んです!」


2人の言葉が、ほぼ被る。
編集長と私しか知らないはずなのに。


「な、なんで‥」
「残念でしたね‥さっき編集長が他誌の編集長と話しているのを、聞いてしまって」
「‥‥」
「どうして、怒ってるんです?」
「だって‥」


怒ってはいないけれど、一番に話して驚かせたかったのに。
なんて、少し子供みたいなことを考えていると、ふっと目の前に影が差す。


「‥おめでとう」
「‥‥」


軽く唇が重なり、至近距離で目が合う。


「‥一番に言えましたか?」
「‥‥」
「それで、拗ねていたんでしょう?」
「す、拗ねてませんよ!」


強がってみるけれど、紡さんがふっと微笑むとなんとなく負けた気分だ。


「‥帰ったらお祝いやな」


そっと囁かれた言葉にほんのり幸せを感じながら。
秋風に吹かれながら、もう一度唇が重なる。
幸せな午後のこと。





happy end
→感謝コメント

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