記念story
□10,000!
1ページ/2ページ
「聞いてください、紡さん!」
「どうかしました?」
屋上に着くなり、私は紡さんに意気揚々と話し掛ける。
早く言いたくて仕方なかったことが、やっと言える。
「‥‥実はですね‥」
「「この前の記事が、社長に褒められた」んです!」
2人の言葉が、ほぼ被る。
編集長と私しか知らないはずなのに。
「な、なんで‥」
「残念でしたね‥さっき編集長が他誌の編集長と話しているのを、聞いてしまって」
「‥‥」
「どうして、怒ってるんです?」
「だって‥」
怒ってはいないけれど、一番に話して驚かせたかったのに。
なんて、少し子供みたいなことを考えていると、ふっと目の前に影が差す。
「‥おめでとう」
「‥‥」
軽く唇が重なり、至近距離で目が合う。
「‥一番に言えましたか?」
「‥‥」
「それで、拗ねていたんでしょう?」
「す、拗ねてませんよ!」
強がってみるけれど、紡さんがふっと微笑むとなんとなく負けた気分だ。
「‥帰ったらお祝いやな」
そっと囁かれた言葉にほんのり幸せを感じながら。
秋風に吹かれながら、もう一度唇が重なる。
幸せな午後のこと。
happy end
→感謝コメント