短編

□sorrowful carnival
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私はグール。
彼はハト。

そうとも知らずに私たちは恋に落ちた。


グールと人間の恋、それだけでも上手くやっていくのは相当難しい。
ましてや、敵対する二人の恋が上手くいく訳もなく、時は突然訪れた。


彼はやけにいい匂いをしてるから、お腹が空かないように常に細心の注意を払っていた。
しかし、それがいけなかった。

「なまえさん、なんだか今日血の匂いがしますねぇ」
「え、血?」
二人きりの部屋の中、什造はおもむろに言った。


「間違いだといいんですが…今、調査が進んでいるグールのお店に、なまえさんの目撃情報があったです…」

胸がどきりと音を立てた。
最近出来たばかりの店で、ハトに目をつけられていたなんて思いもしなかった。


「なまえさん、今日はどこに行ってたです?」

「いつも通り、仕事だよ?」


人間社会に紛れ、私は人間のお店で接客業をしていた。



「僕…今日仕事サボって会いに行ったですけどお店に「違うよ!私グールなんかじゃない!信じて!」

必死に反論するが、什造は顔色一つ変えずこう言い放った。



「見間違いだと思いたかったです。初めて僕がなまえさんのお店に行ったとき…なまえさんの目が一瞬黒くなった気がしたです。あの時、貴女をグールだと気付いていれば…」


もう、言い訳は通用しなかった。

「気付いていれば、私のこと…愛してくれなかった?」


「…僕は、CCGの捜査官です。グールを見過ごす訳にはいきません」
下を向く什造の表情が伺えない

「でも、僕はなまえさんの彼氏でもあります。僕になまえさんは殺せません…」


「什造くん…」
涙が次々に頬を伝った。

「なまえさんは、僕が管理します。誰にも知られない場所で、僕が守ります」
顔を上げた什造の顔には決意の色が浮かんでいた。

そうして、郊外の古い建物の地下室に私は隔離された。
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