保管庫

□問題児と教官
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「秋乃、また問題起こしたんだって?」

任務を終えて報告を済ませ、火影の部屋から出てきたくノ一、秋乃に声をかけたのは波風ミナトだった。
ミナトの問いに「もう伝わってたんだ」と笑う秋乃。
Sランクの任務の途中、敵を殲滅させ情報を聞き出すための人質を連れてこなかった秋乃に頭を悩ませた三代目はミナトからも注意してほしいと言っていたのだ。

「殲滅するのもいいけど、情報を聞き出すのも大事な任務なんだよ?」

『頭ではわかってるんだけど、楽しくてつい』

反省の色を見せない秋乃に苦笑するミナト。

「前から気になってたんだけど、殺戮は遊びじゃないんだよ?たとえ敵国の忍だとしても一人の人間なんだから」

諭すように言うと秋乃はけらけらと笑う。

『でも、里にとって脅威なら殺してもいいんじゃない?』

あくまでも国の、里の為と言い張る秋乃に三代目が頭をかかけるのも無理はないと納得するミナト。

「そうかもしれないけど、殺せばいいっていう考えはよくないよ」

ポンポンと頭を撫でて念押しすれば秋乃は『心がけとく』とまた笑った。

普段は優秀な忍なのだが、ただ一つの欠点が大きすぎる。
それも秋乃の過去にあった出来事がそうさせていると分かっていても、このままではいつか身を亡ぼすと気が気でならない。

「じゃあ、俺は任務があるから」

秋乃に別れを告げて、反対方向に歩き始める。

「あぁ、そうだ」

思い出したように声を上げ、歩みを止めるミナト。

「もし、この任務生きて帰ってこれたら鍛錬の相手をしてあげる」

優しさと本気で殺しにいくから覚悟しておいてという感情の混じった笑顔でそう言うと、秋乃の瞳に好奇心の色が宿った。

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