復活×ハイキュー
□序章
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それは夏合宿の前の夏休み。
3年生皆でショッピングセンターに来ていた。
理由は後輩に何か残すものを考えようと言うもので大地さん達も、ノヤっさん達も色々残してくれたから俺たちも何か残そう、と言う俺からの発想だった。
こういう伝統が続けば良いなあと思いつつもあーだこーだ、それじゃない、もっと違うの、それはない……なんて議論していたときだった。
「ビル3階にて機械の故障が起こりました。ビル内にいるお客様は速やかに避難を開始してください。」
「何で故障だけで避難……?」
「爆発したら大変デショ。ったく……めんどくさいな。」
「山口どーした?顔青くして」
影山の言葉に月島と山口を見ると確かに顔を真っ青にして何だか慌てているみたいだった。
「谷地さん……3階にいるんだよ!!カフェ混むかもだからって予約してくるって……」
「ちょ、早く言えよ!谷地さん探しに行かないとじゃん!!」
「従業員が避難指示出してるでしょ……ってちょっと!日向!!」
月島の言葉を聞かないうちに出口に向かう客の間をぬって階段を上る。
1階にいたせいか多少の苦労はあったものの、後に来た3人を交えてカフェの方へと走る。
一方その頃。
カフェの予約を取り終えた谷地はトイレで用を済まし手をハンカチで拭きながら呑気にトイレから出てきた所だった。
そしてはたと気づく。
何でこんなに静まりかえっているのだろうか、と。
トイレに入る前の喧騒はまるでなかったかのように人っ子一人見当たらない。
「日向達はもうすぐ来るはずだったのに……何かあったのかな?従業員もいない……」
キョロキョロ見回すが人らしき影は見当たらずシン……と静まり返るビル内に不安になりエレベーターに走り出した。
もしかしたら緊急事態でもあったのかもしれない。
ああ、どうしてトイレに行っていたのだろうか!
そんなことを考えていたら銃声と何かが割れるつんざく様な音が耳に響いた。
ひい!と近くにあった看板に身を隠し、音のする方を盗み見た。
現在谷地がいるのはT路地のような場所で看板のある右側が飲食店。
左がアクセサリー等の売っている小物点でガラス張りの仕切りのためか全容が嫌でも見えてしまっている。
谷地の視線の先には割れたガラスが刺さったのか右手の方の白いシャツが真っ赤に染まり髪を乱した女の子と複数人の男の姿、だった。
女の子は赤い透き通る様なナイフにしては大きい何かを手に持ち、男達を睨み付けていた。
瞬間はっと飛び上がった女の子は赤い剣をロン毛の男の剣と何回か交わした後弾かれ、お腹を蹴られて数メートル後退り膝をついてしまった。
「(刀!?え……何でこんなことに!?)」
谷地仁花は混乱と恐怖で叫び声もあげられなかった。
「うお゛おぉい!!いい加減にしろ女!てめえに勝ち目はねえんだ、大人しくついてこい!」
「ししし!こんだけやってまだ逃げるとかしぶとい奴。切っちゃう?」
「必要以上に傷付けるなと言われているのを忘れたか?」
「大丈夫よ!私が治すから。いい加減町中走り回されて疲労困憊よ。」
「金にならない仕事なのに時間だけはかかる……」
彼らは女の子を殺そうとはしてないみたいだった。
むしろ生きて連れ去る為に追いかけているような……そんな感じを。
警察呼ばないと……!
と思いケータイに手を伸ばした時顔の横すれすれを小さなナイフが通って行った。
「ひいい!!」
「一般人に見られてるよ。マーモンちゃんと放送したの?」
「ふん。トイレにでも入っていたんだろ。何?殺す?」
驚き飛び上がった仁花だったが会話を聞いて体の動きを止めた。
殺される?
男達の視線が少なくとも女の子より仁花に向いた時、女の子が剣をロン毛の男性に振り付けた。
「!?くそが!!」
直ぐに気づいて飛び退く男性だったが剣から振った赤い液体が靴に飛び散るや否や靴は蒸発したかのように溶けてしまった。
「やっぱりオメーは半殺しだ!10分の9殺してやる!!」
男性が女の子に剣を振り上げ突進した瞬間……キラリと青い光が見えた。
「スクアーロ、それはもう半殺しとは言わないぞ。」
黒髪の短髪の青年……だろうか?彼も剣を持ちスクアーロと呼ばれた男の剣を受け止めている。
「う゛お゛おぉい!!何でテメーがここにいる!!山本武!」
「ツナからの命令でな。」
にかっ、と笑う青年にスクアーロは舌打ちをし、剣をしまった。
「谷地さん!!」
「日向!!3人も!!」
「あの人達が連れてきてくれたんだ!無事で良かった!」
仁花は涙を浮かべ友人の登場に感動していたが日向のあの人達と言う言葉が引っ掛かり慌てて辺りを見回した。
山本武と呼ばれた青年、の他に茶髪のふわふわ髪の男の子に銀髪の怖そうな男の子、スーツにシルクハットを被った子供といういかにも怪しそうな人達が立っている。
「やりすぎだ。スクアーロ。死んじまったらもとも子もねーんだぞ?わかってんのか」
「下手にかかると殺されるからなア!こっちも本気を出したまでだ!!」
黒スーツの男の子とロン毛の男性の会話が続くなか仁花は女の子に目を移した。
カタカタと肩を震わせ赤い剣を抱きしめ泣きそうな顔で彼らを見つめている。
仲間……と言う訳ではなく女の子にとってどちらも敵なのだろうか……でも日向達をここに連れてきてくれた彼らは……。
一体……なんなの?