海賊
□プロローグ
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「この世界は何て醜いのだろう」
〜プロローグ〜
天使との出会い
ブカブカの黒い上着に白のズボンを履いた白い髪をした男。
その目は微かに濡れており、泣いていたことが見て取れる。
頬には傷。
砂で汚れた衣服が彼を包んでいた。
その彼を抑える海軍に酷く腹が立ったのが分かった。
「キャプテン、早めに帰って来て下さいよー?」
「……さあな」
ハートの海賊団が補給の為島に立ち寄っていた。
ログが溜まるのが3日と言う島なので1日は補給の買い物。
次の日は自由に島を散策と言った計画を建てていた。
トラファルガー・ローも例外なく、医学書を買うために船から降りて町に向かう。
濃い隈と悪人面。
背も高いせいか見た目だけど酷く悪者に見える。
昼下がりにも関わらず太陽は燦々と輝き、活気ある声が町を鳴らしていた。
さっさと医学書を買って帰ろうと早足になるローだったが海軍を見つけてため息をついたあと近くの路地に入った。
見つかったらめんどくさい。
ローはその一心で海軍の集団が通り過ぎるのを待った。
「なあ、本当にこの島にいるのか?」
「報告にあったから間違いないんだろ」
もしや俺達の存在が知られてる……?
いや、俺以外手配書はないから町を歩いていてハートの海賊団だと分かる証拠はないだろう。
多分、昨日海軍はいなかった。
船員の話にも出てこなかったしな。
そう考えていたら
「“天使”がいるなんて……」
……天使?
遠ざかる海兵達を尻目にローは何を言ってんだ?と首を傾げた。
天使?
あの羽の生えた赤ん坊か?
海兵がよもやそんなメルヘン染みた事を信じていた何て……とローは眉をしかめた。
馬鹿馬鹿しい。
聞き間違いか?
とローは路地の反対側から出ようと奥に振り返り足を踏み出した。
「っ!?」
どん!!
何かが前方から走ってきて前にいたローにおもいっきりぶつかった。
ローはよろめくだけだったがぶつかった人は跳ね返って転んでいた。
普段なら苛ついて睨み付ける所だがぶつかった人を見てローはフリーズした。
黒い上着に白のズボン。
ズボンから覗く足はなぜか白くふわふわとした……まるで鳥の羽のような物が肌から生えている。
よく見れば手の甲や服にまでその羽のような物が生えていた。
頭を抑えて起き上がろうとする“それ”は髪が薄暗いせいか分からないが多分白、か銀色。
手が顔から離れた時ばち、と目が合った。
顔にも耳にまでも羽のような物が生えていて、合った目は黄色い。
目の前の人であろう生物にローは驚愕で目を見開いた。
「居たぞ!!」
ドタドタと言う声と共に直ぐに目の前の人は数人の海兵に取り押さえられていた。
そこでローはやっと意識が動いた。
目の前の人に見とれていた?
ローは直ぐ近くに取り押さえられた人を見て直ぐに先程気付かなかった睫毛が濡れており、頬には傷がついてることに気がついた。
「おい!お前、協力感謝……?」
「そいつは死の外科医トラファルガー・ローじゃないか!?」
ローに気付いた海兵達がざわざわと騒ぎ始めた。
こいつだけでも厄介なのに、と言って。
ローは目の前の海兵の声も聞こえずただただ苦痛に歪む人を見つめた。
そして声が出ないのか口だけ動かした人は、言った。
た す け て
と。
「“RUMU”」
気付けばローと助けを求めた人以外皆壁に変にくっついてるか、体がバラバラにされて他の海兵にくっついてると言う奇妙な光景が広がっていた。
気付けば助けを求めた、“彼”は気を失っているのか目を閉じて浅い息を繰り返しているのが分かる。
羽のような物は不思議なことに消えていた。
ローはその日不思議な出会いをしたのである。