ナンバカ

□怪談2!!
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13房の囚人共をしばき倒した後、猿門は自分の舎に戻っていた。
別に怪談が特別怖いわけではないが、やはり気になってしまうもので。
15番の話を後からハジメに聞かされ、信じられなかったが、15番はそういう冗談を言うやつではないと言うのは今までの姿を見てわかっていたため、信じたいが、信じられない、胸がモヤモヤする気持ちだった。
自分の舎へ戻るために歩いていると、前方にこの場所では見慣れない、小学三年生位の背丈の子供と思わしき姿が見えた。
迷子になったのか、と思ったがそもそもここはあの難波である。
まず、どうやってここまで来たのか、となる。
となると、誰か面会に来た奴の子供か?
いや、それは無いだろう。
じゃあ、なんだ?
考えているうちに子供の近くまで歩いていた。
腰ぐらいまであるストレートの少女だった。
手を顔に当て、泣いているかのように見えた。

猿「おい、大丈夫か」

声をかけると少女や肩がビクッと震えた。
怯えさしてしまったかと、猿門は苦い顔をする。
しかし、このまま放置しておくわけにも行かないため、もう一度声をかける。

猿「どうしてこんな所にいるんだ?」

少「………お母さんがいないの」

か細い声で、しかしはっきりと聞こえたその声に、想像していたよりも幼いイメージを持った。
しかし、親がいないということは、やはり誰か面会に来た奴の子供なのだろう。

猿「よし、母さんに会わせてやる」

一緒に行こう、と手を差しのべる。
少女は少し顔をあげるが、長い髪のせいで顔は見えない。

少「……本当?」

猿「あぁ、本当だ」

そう言って、手を少女の顔の前に出す。
すると、少女は顔を上げた。
高い鼻、薄い唇。
そして、白い肌。
どれもそこら辺の女にとっては羨ましいと感じるほどのものだった。
しかし、少女にはかけているものがあった。
それは、眼だった。
本来、大きく、綺麗な眼があるだろうその場所には、大きな穴が二つ、あいているだけだった。
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