ナンバカ
□怪談
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目が覚めたら辺りはまだ薄暗かった。
15「……?」
ジューゴは足音が近づいてくるのに気づいた。
しかし、まだ寝起きのこともあってその足音が何処から近づいてくるのか今のジューゴには分からなかった。
しかし、徐々にとは言え確かに近づいてくる足音にジューゴは言い様のない不安に包まれた。
寝ぼけ眼を擦りながらジューゴはだんだんと近づいてくる足音の正体を突き止めようと鉄格子の外を睨み付けたが、その姿はいっこうに表そうとはしない。
だが、足音がやんだわけではなかった。
それどころか、足音は自分のいるところを通り過ぎていた。
15「…ふぅ、なんだ。他のやつに用があったのか。」
ジューゴはそっと息をはいた。
しかし、こんな時間に誰がどこに行くのか、それがとても気になった。
もしハジメだったらちょっとでも話し相手になってほしいな、なんておもいながら鉄格子の外を覗いてみると、そこには誰もいなかった。
15「……?」
ジューゴは不思議に思った。
足音はまだすぐ近くから聞こえてくるから姿を確認出来ると思っていたのに、と思いながらその瞬間なんとも言えない不安が頭のなかによぎった。
ジューゴは不安に押し潰されそうになりながら、自分の好奇心に勝てず、その人物に声をかけた。
15「…誰か…いるのか?」
その瞬間、足音がやんだ。
と、とたんにその場の空気が変わったような気がした。
ジューゴは思わず自分の布団に潜り込んだ。
体が震え、あらとあらゆるところから汗が吹き出てくる。
すると、止まっていた足音が今度は確実に自分の方へ向かってきていた。
恐怖で気を失いそうになる。
今となればその方が良かったんだと後悔する。
足音は自分のいるところで止まると、そこから静かになった。
15「…?助かった…か?」
ジューゴはほっとして布団から出ようとして、動きを止めた。
正確には止めざるを得なかったからだ。
ジューゴは体が震え、隣で寝ているウノやロック、ニコに助けを求めようとしたが声がでない。
覚悟を決めたジューゴは恐る恐る自分の布団の中をのぞくと、そこには幼く髪の長い女の子が此方を見上げ、とても大きく、真っ黒な瞳で見つめていた。
15「あ…あぁ……」
恐怖で声が出せないでいると、その女の子はニタッと口が裂けそうなほどの大きな口で笑い、
「お兄ちゃん…ミーツケタ」
そう言って、ケタケタと笑い出すのを見たが最後、ジューゴは気を失ってしまった。
次の朝、ハジメに起こされて目が覚めた。
ジューゴはあれは夢だったんだと、そう思った。
一「おい…十五番。その右手…どうした?」
ハジメの一言になんとなく嫌な予感がした。
自分の手を見たくない。
見てしまったらきっと、後悔する。
そう思いながらも、自分の顔は自然と手の方へ向いてしまう。
そして、目に写ったものはくっきりと写っている小さな手形と腕に絡まった沢山の長い髪の毛だった。
15「……と、言うことがあったんだ」
ジューゴは自分の身におきたことを皆に話終えた。
皆とは、ウノ、ニコ、ロック、ハジメ、星太郎の五人だった。
今朝、ジューゴの腕を見て、ハジメは状況を説明しろと迫ってきた。
別に隠すつもりはなかったので話すと、少しだけスッキリした。
話終え、皆の顔を見ると、ハジメ以外、顔面蒼白だった。
69「……なぁ、作り話…だよな?」
15「なわけないだろ。本当だ。」
25「……僕、もうここで寝れない…」
11「……」チーン
15「おい、大丈夫かウノ」
星「しゅ、主任‼ど、どどどうしましょう‼」
一「おい、落ち着け」
15「……」
自分の話した話で、回りがこんなになるとは思ってなかったジューゴは黙って見とくしかなかった。
一「おい、十五番。さっきの話は本当か?」
15「だから、本当だって」
ハジメはなにかを考えはじめ、そのまま黙ってしまった。
69「…じゃあ、怪談話でもするか」
全「……は?」
一「なんでそうなった」
69「いやぁ、幽霊って怪談話してたら寄ってくるっていうじゃん?」
15「なんで呼ぶんだよ」
69「俺だった嫌だけど…そう言うの聞くと気になるじゃん?」
そうして、なぜかこのメンバーで怪談話をすることになってしまった。