カウンター×カウンター

□続 変化のゴング
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「笑えるぐらい、演技派やな」
と言って千堂を見る名無しさん(名前)

「こんなもん ちょちょいのちょいや」

「……僕なら 表示してある値段でそのまま買ってます……」

千堂は電気屋で見事に値切ってみせた
ホットプレート以外にも
新しく出来た名無しさん(名前)の部屋に必要なものも買うという事で
割引をしてもらった
買い物も全て終えて、駐車場に戻ってきた。
名無しさん(名前)は車に荷物を積み終えると、振り返り

「ありがとうな!助かったんもあるけど
なんか、お出かけ、素直に楽しかったぁ」

ニコニコと笑い
二人にお礼をいった

「はい!僕も……
うちは、母と二人だから……仕事も釣り船は朝も夜もあって……
だから、新鮮です。とっても」

「ワイかて
バァちゃんと二人や。お袋はワイを産んですぐに逝ってもてるし
オヤジもワイがチビの頃に死んでるし。
あ、消防士でな、なんや、子供助けるんに必死で
あっちに逝ってもうてん
……確かに
皆で出かけて買いもん なんて、した事あらへんわ」

……
………
…………

「……くっらぁ〜(暗ぁ〜)
……って言うてみる」
名無しさん(名前)が、この雰囲気に突っ込んだ

「ほんまじゃ!!!
幕之内、お前が言い出すからやないけ!」

千堂が一歩の背中を叩く

「い!!た!!
すすすすいません!!
だって、本当に楽しかったから!
疲れちゃってはいるんだけど、でも
でも、なんていうか、幸せな気分なんです」

「今日はこれから
もっと幸せになれるで!お腹も!」

千堂から逃げまわる一歩に名無しさん(名前)は笑いかけた
(素直で、ええ子やな。)

「はい!!!」

ニコニコと笑いあう二人

なぁ
と千堂が名無しさん(名前)を呼び止める

「あんたは
こうやって出かける事とかあんの?」

「……今はないよ。
京都におる時は、兄弟で出かけるとかはあったなぁ。
お兄ちゃんとランチに出かけたり
お姉とブラブラ出かけたり。
今は母親の法事くらいでしか、顔合わさへんけど」

「え?」
「え?」
2人が驚きの表情で
名無しさん(名前)を見る

「ウチが二十歳の時に、お星さんにならはった。」

微笑みかける名無しさん(名前)
その顔に悲しさはなく
強がりもなく、ただ優しさがあった

「……二人のお父さんとお母さんも、ちゃんと上から見てはるよ。
せやから、苦しいときは
空見るんやで」

二人とも
日が傾きかけた空を見上げた

「さぁ
帰って準備すんでー!!
下ごしらえできるまで、プチリフォームしたあの部屋で
二人ともゆっくりしとき」

そういうと3人は車に乗り込んで
名無しさん(名前)はジムへとハンドルを握った
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