カウンター×カウンター

□はじまりのゴング
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とある平日の昼下がり。
鴨川ジム。

「マサル〜」

「トミ子〜。来たのか」

とジムの入り口に行く青木を同期の木村が追いかける

「おいおい……この時期はやべーよ……
鷹村さん、減量でピリピリしてんのに……」
と苦い顔で木村は青木に耳打ちする

すると、ふふんと鼻をならし
「今日はその減量に手を貸せねーかと思ってよ
トミ子の知りあいの先生を連れてきてもらってんだ」
と青木は得意げに木村に話した

「知りあいの先生?」
とトミ子に木村は問いかけると

「木村さん、紹介します、名無しさん(苗字)さん、栄養指導や食品成分の専門家です」

髪型はロング
腰まである髪を一つに束ねている
顎まである前髪はポンパドールにして
しかもスッピン
セルフレームのメガネがそれ″を加速させる

おばさんっぽい

肉がつくとなかなか取れないお年頃に差し掛かった名無しさん(名前)だった


「こんにちは」
と関西なまりで名無しさん(名前)は一礼した

おっとり、というか、すこし落ち着いた口調の関西弁につられて木村も
「こんにちはぁ」
と語尾が間延びしてしまった
名無しさん(名前)は ニコっと口角をあげる。
両頬に笑窪ができた。

あっと恥ずかしくなって頭をかきながら木村は
「すいません、名無しさん(苗字)さん、でしたっけ?
該当者が今不在なんですよ。ロードワークって言って走りに行ってまして……」

「そうですか…。
どれくらい前に出て行きはりました?」
と、名無しさん(名前)は木村をみた

(関西弁の女性って、ちょっとキュンとくるなぁ
かなり度がキツそうなメガネしてるし、風貌からは気が付きにくいけど
この人、綺麗な肌してんなぁ。しかも、笑窪がちょっといいな。
目も……ちっ
メガネが邪魔してちゃんと見えねー
きちんとすりゃ、それなりに……)

「あの……なんぼほど……」

しまった と
「あああ〜
え〜っと。で、出て行った時間でしたよね。さ3〜40分前に…」
焦ってしどろもどろの返答の木村だった

「ほな、あと30分もしーひんうちに戻らはりますやろか」

「と、思いますけど……」

(どないしょーかなー。待っとてもええけど
うち、今日の晩、夜勤頼まれてんねんなー……寝ときたいし……)
と悩んでる名無しさん(名前)に
「ただ……」
と木村は話しかけた

「名無しさん(苗字)さんが待とうとしてる鷹村って人なんスけど……
誰の手も借りることはしないですよ
まぁ減量なんて、本当に一人で闘って
己を高めるもんですから……」

「皆で仲良くやっとったら、そらただのダイエットやしね」
と笑った名無しさん(名前)に木村は

「壮絶……この上ないものですよ。
しかも鷹村さんは……ただでさえオレ様キャラ。ザ・ボス。
それに輪をかけての減量で……ピリピリ具合がヤバイんですよね……」

と話した直後だった

「じゃまだぁてめーら!!!
どきやがれ!!!!入れねーだろーが!!!
見学なんかしにくんじゃねぇぇぇぇ!」
と声を荒げて近づいて、青木にムエタイ選手も真っ青な
見事なローキックをかました
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