カウンター×カウンター

□水曜と木曜のゴング
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コンコン

ジムの名無しさん(名前)の部屋の扉を誰かがノックした

「お嬢
ちとええか」

会長と八木が部屋に入る

「はい。
どないしはりました?」

「実はの、わしと八木ちゃんで
少しの間、海外に行ってくる」

「え?」

「……鷹村の試合なんじゃが……
実は流れたんじゃ」

「ええ?!」

(絶対機嫌悪いやろ、アレ)

「相手の選手、練習中に手首を骨折しちゃったらしいんだ
今朝、トレーナーと本人がジムに来てね……」

「お嬢も気づいておろうが、奴の強さはもうこの国では規格外じゃ
タイ、フィリピンと回って、相手を探してくる
その間、篠田君と二人で留守を預かってくれんか」

「う…うち…私がですか?!
なんも出来ませんよ!ほんまに留守番しか……」

「篠田君が練習は見てくれるから
名無しさん(名前)ちゃんは引き続き彼らのサポートと
見張りを頼むよ
あれでも、篠田君、彼らの強引さにはちょっと弱いから」

(まだ、よう知らんウチに、なんちゅう宿題を……)

「あの……どうでもいいですけど
この2階が揺れんばかりにサンドバック叩いてるんは……」

「……うむ……」

(やっぱり…)
目を閉じてお経を唱えそうになる名無しさん(名前)

「久しぶりの試合じゃったからの……
……せめて闘志を向ける方向を探してやりたいんじゃ」

「帰ってきたら このジムがある事を祈っててください……」

「恐ろしいこと言わんでくれ」

「冗談です。
……会長!八木さん!
一秒でも早く戻ってきてくださいね」
泣き真似をしながら留守番を了承した

二人は部屋を後にする

(絶対ここに、誰か逃げ込んでくるはずや……)

ドタタタタタタタタ
コンコンコンコンコン!!!!
「すいません!!入ります!!」

「留守やで!誰もおらへん!」

ドアを開けて木村が入ってきた

「意地悪
言わないでくださいよ……」

ボロボロになっていた……

「……さっき会長さんから聞いた
……試合流れたんやろ?」

「らしいですね。
あの人、おれら下の階級相手にマジでスパーしてきやがる……
俺の試合前に俺を殺す気かよ」

「フラストレーションの塊やな、今。
気持ち分からんでもないけど、八つ当たりは大人気ないな」

「お願いします!
暫くここに置いてください!」

「……イヤや」

「ええ?!
見捨てるんですか、俺を」

「アレもこっち来るやん!
……なぁ達也くん、同じ選手で同じジムの仲間やん
気持ち受け止めてあげぇな」

真剣な表情で名無しさん(名前)が言った

もちろん、演技である

「名無しさん(名前)さん……
それ、半分嘘でしょ」

「……バレたか……」

「見てるから、そういうの分かってくるようになっちゃいました」

まぁ、座って、ちょっとお話でもしよか
と木村を近くに呼んだ
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