ストナイ 菊姫

□ストナイ 菊姫 壁どーん
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今日は事件解決の後、姫川班で飲みに来ていた。

そこそこ酔いもまわり湯田が恋愛について話し始めた。

『俺、この前、好きな子に壁ドン告白してみたんですけど〜振られちゃいました!』

『壁ドン?なに、それ』

姫川が日本酒片手に尋ねた。

『主任〜知らないんですか〜!?』

そう言って湯田が姫川に壁ドンの説明をし始める。

『はぁ?コウヘイ、そんなことされてもドキドキしないし嬉しくないわよ!』

『えぇー!?』

『コウヘイの話し聞いてたら壁に追いつめられて脅されてる…って感じじゃないの?』

『そうだなぁ〜やっていい奴とダメな奴にわかれるんじゃないか?』

年長の保さんが話しに加わった。

『なんですか〜それ?俺はダメッて事ですか〜?』

机に項垂れて湯田が菊田を見た。

『菊田さんは?菊田さんがしたら女の子落ちるんじゃないですか?』

『そうだな、菊田ならされたいって女がいるかもな〜』

『やったことありますか?』

葉山がすかさず聞いてきた。

『ねぇよ!そんな事するかっ!』

なぜか湯田に肩パンが入った。

『いてっ!すんません、』

『誰がしても同じよ、そんなの漫画かアニメの世界だけよ〜』

『ったく!夢見すぎだろ!』

『えぇー女の子は壁ドンされるの好きだと思ったんだけどなぁ〜』

そんな話しをしながらお開きの時間まで盛り上がった。

『菊田!送って…』

『はい!』

二人は一足先にエレベーターに向かった。

ほどなくエレベーターが到着すると乗り込んだ。

そこへ団体で飲みに来ていた客達がすみません!っとエレベーターにドッと押し寄せた。

菊田は姫川を守るように壁に手をつき正面で向かい合った。

『主任…大丈夫ですか?』

『えぇ、平気…』

(なんか、コウヘイの言ってた壁ドン…みたい、ね…)

菊田を見上げると目が合った。

『すみません…すぐ着きますから…』

少し押されたのか菊田が更に近づいて唇が触れそうな距離になった。

(なんで、ドキドキしちゃうのよ…)

思わず下を向いた。

ほんの…数分…短くて長い菊田と壁ドン体験。

エレベーターが開くと最後に二人が降りた。

何故か少し顔が赤くなった姫川に菊田は『酔っちゃいましたか?』なんて聞いてくる。
(…あれが壁ドンね、なるほど…、凄いわ)

そんなことを考えいると顔を覗き込まれた。

『主任?』

『えっ?…、菊田!近い〜!』

そう言って両手で菊田の顔を押した。

『そうですか?さっきのエレベーターの方が近かったと思いますけど?』

そんなことを言われて一気に赤くなる…

『主任?ちょっと…』

菊田は居酒屋のビルから離れた一角に連れていき壁に背をつけた姫川の髪をくしゃりと撫でた。

『主任…可愛すぎです…』

『なっ、何、言ってるのよ!』

『湯田の言ったことしてみていいですか?』

『えっ?!』
壁にトンと手をつくと耳元で囁いた。

『主任…好きです…』

『えっ?』

菊田はあごを持ち上げるそのまま唇を押し付けた。

『んっ、…』

姫川は菊田のスーツをぎゅっと握る。

『主任、あの、やっぱ脅されてるみたいですか?』

『…、菊田が壁ドンすると、…ドキドキする…』

『主任…』

そんな菊田のネクタイを引っ張り顔を近づけ告げた。
『職場でやったら殺す!』

そう言って菊田の唇に自分の唇を押し付けた。

唇が離れると姫川は逃げるように歩き出し菊田は『はい、すんません』とその後を追った。


後から来た姫川班、湯田が一言…

『やっぱ菊田さんがしたら成功するんですね…』

肩を落とす湯田を保さんと葉山が慰めた。

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