薄桜鬼

□初体験は突然に!土千
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「失礼いたします。」

千鶴は副長の部屋をそっと開ける

土方は文を書きながらチラリと視線を向けるがすぐまた書き物に集中していた

「何か用か?」

「はい、原田さんがお団子を買ってきてくれたのでお茶と一緒にお持ちしました」

「そうか、少し休むか… 」

土方は肩を押さえながら軽く腕を回した

「土方さん、肩をお揉みしましょうか?」

「ん?いや、大丈夫だっ、それよりお前の茶はどうした?」

「えっ?…いえ、私は…」


「一人では食べきれねぇから、お前も茶を持ってこい、」

「は、はい!」

千鶴は急いで自分の分の茶を用意して副長の部屋へと戻った

「お、お待たせしました」

「あぁ、…ほら、食え」

串の刺さった団子を渡してくれる副長の優しい眼差しに頬が紅く染まる

「いただきます!」

嬉しそうに頬張る千鶴に笑みを浮かべ頬につく粉を指先で拭ってやる

「ここ、ついてるぞ?」

「あっ、…ありがとうございます」

ニヤリと笑う副長の意地の悪い笑みに恥ずかしそうにそっぽを向く

そんな事でうなじまで紅く染まる千鶴の初な態度にドクっと熱くなるからだ…

(っ、こんな、ガキに?ありえねぇ、)

眉間にシワを寄せる土方…

「土方さん?」

顔を上げると思ったより近くにある千鶴の大
きな瞳にコホンと咳払いをする

「お疲れなんですか?昨日も遅くまで灯りがついてましたし、」

心配そうに顔を覗き込む千鶴の無防備な距離に邪な気持ちが膨れ上がった

「なんでもねぇよ、ただ」

「ただ?」

首を傾げる千鶴の頬をひと撫でし

「お前も美味そうだな…と思って、」

真っ白な肌にそっと唇を寄せて囁いた


「ひっ、土方さん…」

身をよじり離れようとする千鶴の手を引いて引き寄せた

「あ、あの、やめっ、」

耳元に吐息を感じ肩を竦めて土方の手から逃れようとすると低く擦れた声が聞こえた

「千鶴…今夜はここに、来てくれるか?」

びくりと肩を揺らす千鶴の肌がいっそう赤に染まる

「だ、ダメ、です!」

「お前は、俺の小姓だろう?」

(どうしよう、私…初めてなのに、)

「土方さん、わたし、まだ誰とも…」

震えそうな手をぎゅっと握りしめ千鶴は俯く顔をあげることができなかった

「まぁ、そうだろうよ、お前は、」


「えっ!わ、わかるのですか?」

驚き身を乗り出す千鶴

「、いや、お前のことは、その、そんな風に見たことなかったんだが、さっきの態度で、だいたいだな、」

「…/////」

下を向いたままの千鶴の髪をするりと撫で呟く程度の声で名を呼んだ


「千鶴、」

「…はい」

「今夜、待ってる」
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