遙かなる時空の中で4
□依存
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−−いやだ置いていかないで
ずっと傍にいて
あなたのいない未来に、幸せなんてある筈がないのに……
いかないで、かざはや……−−
ふと目が覚めると、酷い疲労感に襲われていた。
部屋に差す光は未だ微かで、人が活動するには不十分だ。
寒くなんてないのに震えが止まらないので、上体を起こして体を抱きすくめる。
また、あの夢を見た。
隣を見れば、澄んだ天色を布団に散らして眠る愛しいひと。
彼は私の傍らにいるというのに−−
私ではない、けれど、確かに私の記憶。
白龍を倒し、世界を取り戻して……彼は私の前から消えてしまった。
その事実が、こんなにも私を不安にさせる。
「風早」
ここに風早がいるのだと実感したくて、そっと彼の名を呟く。
「……千尋」
「っ!」
起こさないようにと、小さく呟いた筈なのに
いつでも、どんなときでも
彼はこたえてくれる。
「今朝は随分早いんですね……暗い顔をして、どうしたんです?」
柔らかく微笑みながら問い、頬を包んでくれる手のあたたかさ。
−−ああ、風早はここにいるんだ……
堪らなくなり、彼を後ろに倒すようにして掻き抱く。
強く、つよく。
存在をたしかめる。
−