遙かなる時空の中で5

□始まり
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河原の土を踏みしめると、氷の砕ける音と同時に小気味の良い振動が足を伝う。
今朝は随分冷えた為霜が降りているらしく、もう日が昇ってから数時間は経っているというのにまだ寒い。

こんなときあの子がいればくっついてお互い暖をとることが出来たというのに、生憎ゆきは福地と一緒に京の怨霊を浄化しに行っている。
私も同行したかったが、もしもの緊急時に空間移動を使ってその場から逃れられるのはあいつだけ。
いくら福地と言えど、ゆきと私を抱えて空間移動は無茶だろう。

今回はゆきを守る役目をあいつに譲ったけれど、本当は心配で仕方がない。
私が傍で守ってないと、不安で。

「ゆき……」

私がこんなに寒いと感じているんだ、あの子は震えてないだろうか。
ただでさえ白龍の力を使う度に体力が削られているのに加え、怨霊との戦闘。
ちゃんとこまめに休憩を取っているだろうか。

……福地、どさくさに紛れてあの子にちょっかい出してないだろうな……この間はゆきを助けるためとはいえ、き、キスを……!!


「おい」


助けてくれて感謝はしてるし事故みたいなものだってわかってるけど思い出すだけで……!!


「おい、八雲」

「 なんだよ! ……って、ああ、あんたか」


勢いよく振り向くと高杉が至近距離でこちらを見下ろしていた。







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