獄卒
□母親
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「雨入り四光、勝負」
「えっ、あ……」
これで一勝四敗。締めて34文持って行かれた。
「肋角さん花札つよー……」
「年季の差ってものがある」
満足げに紫煙をくゆらせ、楽しそうに笑う肋角。
隣では木舌がけらけらと苦藤の負けっぷりを笑い、佐疫が苦笑しながら木舌の日本酒をキープしていた。
「あっはっはっははははは!ぜーんぜん勝てないじゃないか苦藤!はははははっ!」
「うるさい、酔っ払い!アンタのお酒全部捨てるぞ!」
「あ、それ僕も手伝うよ」
サッと武器を取り出す二人と、「いやぁぁやめてごめんなさいぃぃぃ!!」と騒ぎ出す木舌を見て、肋角は更に楽しげな笑みを浮かべた。
「この間女性の亡者に目ぇ抉られてたよね?同じことするぞ、今度は握りつぶして遠くに放り投げてやるよ!」
「酒が助かるならそれでもいい!」
「濡れてもいいからこの酒瓶打っちゃって、佐疫!」
「了解っ!」
「やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
じゃれあう子供達の姿はとても微笑ましく、それを眺めながら微笑を浮かべる父の姿もまた、はたから見たら和やかな家族の一部である。