パラレル短編
□世は徒桜、酒は千古不変
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ビンクスの酒を 届けに行くよ
海風 気まかせ 波まかせ
繰り返される波の音の隙間に、「ビンクスの酒」の賑やかさが紛れ込む。
楽しい雰囲気につつまれた白クジラの船に、小さな船がすいっと近付いた。
───ドン!
歌声を引き裂く銃声。
なんだ、敵襲か、足音とともに声が駆け回り、銃声が轟いた海へと灯りを向ける。
「相変わらず楽しそうじゃあないか」
拳銃を頭上に構えて船の上に立つのは、赤髪の女。
彼女は不敵かつ妖艶な微笑みを浮かべ、巨船に船長として陣取る大男を見つめた。
「あたしも混ぜてくれよ、爺さん」
・・・