パラレル短編

□宿鬼
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「ナナシ、今度私の家に来てみるかい?」


すごい唐突。

思ってた事が顔に出ていたのか、災藤さんは苦笑した。


「そんなに嫌だったかな」
「あっい、いや、そういうわけじゃなくて、良いのかなぁって、思って」


災藤さんは、私生活がよく分からない事で、有名なのだ。

私の働くレストランでよく食事していく災藤さんと付き合うようになったが、彼は仕事と趣味の話以外はあまりしないのだ。

休日は何をしているんですか、なんて聞くと、いつも趣味に費やしてるよ、という返事が返ってくる。逆に言うと、それ以外の返事が返ってきた覚えがない。

つまりは家で何をしているのか、よく分からないということだ。


「あんまり、家の話しないじゃないですか」
「私は個性がないからね。家のことで、話して面白いようなことがないのさ」
「そんなことないですよー」


趣味がショッピングなんて、男の人ではそうそういないと思う。

その趣味のおかげで、可愛い服を買ってもらったりとかするんだけど、年上だからってやっぱり甘えすぎかも。


「お前が良いなら、私の家に遊びにおいで。歓迎するから」


にこり、と微笑む災藤さんが眩しいです。キラキラオーラがすごい。

せっかくのお誘いだ、お言葉に甘えて遊びに行こう。

私もにこりと微笑んで、はい、と答えた。
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