パラレル短編
□氷鬼
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連絡を入れると、マメな斬島はだいたいすぐに連絡を返してくれる。
今回もすぐに返信が来た。
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ナナシ:斬島ー!
霧島:なんだ
ナナシ:今度の休みいつ?どっか遊びに行こっ♪
霧島:次の休みは明日で、今週は月木日が休みだ。
ナナシ:全っ然休みあわないや(泣)
来週は?
霧島:来週は火金が休みだ
ナナシ:火曜日休みだー!(((o(*゚▽゚*)o)))
じゃあこの日にどこか行こうね!
霧島:どこに行くつもりなんだ
ナナシ:わかんない!
あっでもワンピース買いに行きたい
霧島:そうか。ならショッピングモールにでも行くか
ナナシ:行くー!!
じゃあおやすみ♡
霧島:ああ、おやすみ
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味気ない返答ばかりだが、今の私には大きな問題などではない。
最初は、特別な想いとかはなかった。むしろ苦手だった。
斬島は表情の変化が少なくて、一緒にいるとなんだか落ち着かなかった。話す時に目を合わせるだけでも、冷え冷えとした感覚を覚えてしまっていたのだ。
しかし今はそんな機械的な印象は無くなっている。なんてことはない、斬島はただ表情が少ないだけだった。
頼み事をしたらだいたい聞いてくれるし、実は猫なんかが好き。ちょっと厳しい時もあるけれど、激務を終えたら必ず労ってくれる。どちらかといえば、感情は豊かな方なのだ。
何にでも一生懸命で、周りが見えない時もあるけれど、気遣いは忘れない優しい人だ。
そんな斬島がカッコよくて、憧れて憧れて、やっとの思いで告白できたのだ。
淡々とした返事ぐらいではなんともない。むしろいつも通りで嫌なこともなかったんだ、とすら思えていた。