パラレル短編

□覚めてしまった夢の話
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「ねぇ、幸せかい?ドフラミンゴ」


……ナナシの唐突な質問は、いつも通りだ。

この女は突然、何の脈絡もなく問いを投げかけてくる。それにこちらのペースを乱されることも珍しくねぇ。

分厚い面を被るナナシは恥を知らず、たまにとんでもない質問をしてくるが、今回は訳のわからない問いだ。


「フッフッフ、突然どうした。いつも以上に変な事を聞くじゃねぇか」
「幸せか否か、それだけ答えてくれればすぐに消えるさ。君から与えられた仕事は終わっちゃいないからね」


……ますます訳がわからねぇな。

ナナシは普段、頭の中で考え事をしている。
何を考えているかは知らねぇが、先ほどまで話していた内容とはベクトルすら違う質問をする事も多い。

頭の回転も速ぇから、全く関係のない質問かと思う時があるが、コイツの説明を聞くと繋がっている事がわかる。

真剣な顔をして問いかけるナナシに、さてどう答えたものか、と少し逡巡する。


「そうだな、お前や幹部のメンバーといる時は、シアワセっつってもおかしかねぇな」
「……そうかい。いや悪かった、邪魔したね」


いきなり部屋に入って不思議な質問をし、部屋から出ようとするナナシを引き止める。


「お前、質問をした後はいつも、『どうしてその質問をしたいという結論に至ったか』を説明するよな?」
「……そうだね、だが君には言えない」


栗色のまつ毛が伏せられ、目元に長く影を落とす。


「我らがボスに隠し事はしたくなかったが、……察してくれないか、ドフラミンゴ」


切なさを含んだ声に、俺はぐっと喉が詰まるような想いをした。

ナナシは、俺に隠し事はしねぇと言い切り、男には話しづらい事もさらりと話すような女だ。

そんなコイツが、話したくねぇと渋っている。

気になるし、コイツを悩ませているモンは取っ払ってやりてぇが、知られるのを拒むのなら踏み荒らす事もねぇか。

しかし、放置したのが仇となった。


その数日後、ロシーの裏切りが発覚した。
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