パラレル短編
□スモーカー誕生日
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※※甘めです※※
3月14日。
ホワイトデーであると同時に、とある人物の誕生日である。普段から世話になっているその人物の為、彼女はまた一輪の花を持って、街を歩いていた。
「はぁ……」
毎年毎年、この日は嬉しい反面大変なのだ。
スモーカーは海賊を捕まえるには腕利きの海兵で、一般市民からは人気のある人物である。
市民は普段から感謝の念を表し、誕生日とあらば幾つものプレゼントが集まる。三十路を越えたいい大人が、誕生日を喜ぶ訳がない。
それでも、こうして祝われる事自体は、悪い気はしなかった。
「相変わらず凄い祝われようだねぇ」
プレゼントの山を眺めるスモーカーの背後、間延びした柔らかな声が部屋を伝わる。
待ち望んだその声に振り返ると、変わらない微笑の女が立っていた。
「……ナナシ」
「久しぶりだね、スモーカー」
ニコっと微笑みながらかけられる台詞に、思わず口角が上がる。
「お前もプレゼントか?殊勝なこった」
「大事な友人の誕生日を祝わないのは悪いじゃないか。私だってそれくらいのことは考えるさ」
ナナシは、スモーカーの幼馴染みだった。
幼い頃、暴君から身を呈して自身を守ってくれた海兵の姿を目の当たりにし、現在大尉の地位にいる。
スモーカーとは幼い頃からの付き合いの上、同じ職についたということで、未だ友人付き合いを続けているのだ。