海賊

□酒飲み狼
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「そんな怖がんなよ、取って食おうってわけじゃねぇんだ。⋯⋯立ち話もなんだ、酒もイケる口のようだし、部屋で呑もうぜ」
「えっいやあの私は別に⋯⋯」


肩にするりと伸ばされる大きな手にビビり、2歩後退りしたあたりで足が止まる。

ドフラミンゴの笑みが色濃くなった。


「な⋯⋯」
「ほら行くぞ。お前には聞きてぇコトが山ほどある」


ドフラミンゴは肩を抱いたまま、マリージョアの地を我が物顔で踏み締める。それと同時に、私の足は“勝手に”同じ方角へと動き出した。


「う、わっ!? なに、なにこれっ!?」


私の意思を無視して、足はコートの隣をピタリとついて歩く。お前私の足だろ、言うこと聞けよ。



・・・



「テキトーなとこ座ってろ、今なんか用意してやる」


⋯⋯なんで私、七武海の部屋に連れ込まれて酒呑もうとしてんだろう。私が一番不思議に思ってるよ。急性アルコール中毒で殺されるのかな。


連れてこられたドフラミンゴの部屋は、要人だけあって豪華なものだった。

どの家具もでかい。この人用に用意されたものなのは一目瞭然だ。普通の人よりずっと大きい人たちは、特注を用意しなきゃいけないから本当不便だろうな。

というか普段この部屋どうなってるんだろう。七武海の招集なんてそうそうあるもんじゃないから、こんな大男専用みたいな使い方はいつまでもしないだろうに。家具とか片付けんの? あとどうでもいいけどワインセラーとかもあんのな。

ていうかそこに手ェ突っ込んでごそごそしてるあそこの大男ドンキホーテ・ドフラミンゴだよ? 激安の殿堂みたいな名前してるけど新世界でも知られてる名前じゃん。

割とマジでなんなんだろうあの人。変なのがいるーくらいには思うのはまだ分かるけど、だからって部屋に連れ込んで酒呑もうぜなんて言うか普通? なんやかんやいって海兵やで私?


「何ぼーっと突っ立ってんだ、座れ」


この状況でも元気一杯な私の無駄無駄WRYな思考は、滑らかな低い美声によって中断させられた。


ズラリとお酒を並べ、ひらりと手をふって催促された。
それに従って向かいのソファに近付きながら、疑問をぶつける。
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