海賊

□酒飲み狼
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電伝虫越しの再会と、魚人たちとの初めまして。
やんややんやと楽しく宴をしているうち、夜はどんどん更けていく。


そろそろ切り上げなければ明日に響くだろう。さっさと帰って寝なければ。


「もうお帰りになるのでありんすか⋯⋯? もう少し楽しんでいかれても⋯⋯」

「ごめんねぇ。仕事が滞るとかわいい部下たちにも支障をきたしちゃうからさ」


ちょっと出来上がりかけてるルリチョウにそう言い、魚人たちに挨拶をして船を出た。


船から降り、煌々と光を注ぐ月を見上げる。

いい夜だなぁ。できれば船にこもってじゃなく、月見でもしながら一献したかった。

いただいたお酒はなかなか美味しかった。ほろ酔いとまでもいかないけど、予定より少し飲んじゃったし。日本酒も悪くないもんだ。

でもやっぱり、私には甘いカクテルサワーが一番あってるな。帰ったらもう一杯呑もう、ピーチサワーとライチサワーのどっちにしようかな。


お酒についてどうでもいいことをつらつらと考えてながら、帰路を急ぐ。


すると。


「⋯⋯?」


ざわり、と肌が粟だった。

無風でそこまで寒くはない。なのに、背筋に冷たい刃が滑ったように、鳥肌が一気に立った。


理由は簡単だ。


「さっきぶりだなぁ、嬢ちゃん?」


影に覆われて周囲が暗くなり、つい最近聞いた声が耳に届いた。


振り返ってみれば、3mもの巨躯が立ちはだかる。チェシャ猫の、いやそれよりずっと悪どい笑みが、私を見下ろしてニタニタと嗤っている。

月光を背負って影を落とすその姿に、言いようのない恐怖と不安を煽られた。


「フッフッフ、ずいぶん魚人どもと仲が良かったな」

「⋯⋯⋯⋯こんばんは⋯⋯」


突然の登場と見られてた事実にびっくりだよ。蚊の鳴くような声で挨拶すると、ドフラミンゴは何を面白がってか特徴的に笑った。


どうしよう。

船からは少し離れている。周りに助けを求められる人は誰もいない。私は小さく弱々しい海軍将校。相手は三大勢力の王下七武海の一角。


え、詰んでね?
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