海賊
□Happy Halloween night!
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じぃ───────。
「………………」
じぃ──────────っ。
「…………食うか?」
「食べる!!」
途端にパァッと表情を明るくする名無しはずるい。
普段は可愛げのない小娘だが、美味いものに関してはとても反応がいい。
食いモンで釣られる事も多いから、誘拐が心配な限りだ。
「……そうだ。これから菓子の練習をしたら、お前にくれてやりゃいいな」
「それ掃除係ってことだよね?」
「甘いもんたくさん食えて嬉しいだろ?」
「うん」
普段こう素直ならいいんだがなぁ。
女の子にご馳走するために練習したブリオッシュは、嬉しそうな表情の名無しの口に着々と収まっていく。
自分では納得のいかない出来だったが、こう美味しそうに食べてもらえると、なかなかどうして照れる。
「ところで、今日は起きんの遅かったな。昨夜が満月だったからか?」
「うん。人狼が起きてたから、私も夜更かしした状態だった。夜明けから3時間くらい寝てたんだけど、マルコに叩き起こされて。体内時計狂わせると辛いのはお前だぞいってさ」
不満げに話す名無しの顔を見て思わず笑う。マルコが指導に厳しいのは知っていたが、それにしたって睡眠3時間は辛い。
それより怖いのは、確かに体内時計が狂ってしまう方だが。
「そういえば、来週だね」
「ん?」
来週、なんか予定あったか?どこかの島に降りる予定はまだねぇんだけど。
カレンダーに目を向けても、ピンとくるような予定は特にない。
「10月31日。お菓子をあげなきゃ小さいお化けにイタズラされちゃうイベント」
………あ。