海賊

□孤高の狼
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海軍ではまことしやかに囁かれる噂がある。


あの海軍大将サカズキが連れ帰った正体不明の少女名無しは、冷めた視線を持つ凜とした少女となっていた。

名無しは上層部から妙に目をかけられ、僅か16歳で中佐へと成り上がった。年若い女が成り上がったことにより、周囲からは冷たい嫉妬の目で見つめられていた。


しかし、それに見合う程の力は持っていた。


上から目をかけられている分、彼女の基本能力はそれなりに高いのだ。

並みの者では相手にならない。海賊船10隻を、彼女と部下数名だけで落とす程だ。


そして、強力な彼女の部下たち。

名無しの部下たちは、彼女が自ら連れてきた者たちである。年齢や性別や人種などは問わず、まさに烏合の衆とも言えるものだ。


格闘術、剣術、戦術、医療、諜報。色々な能力に特化した人間が揃い、スパイ活動や白兵戦や情報戦、果ては経済戦などにも通じ、孤立しながらもかなりの実力を誇る。

その実力の高さは化け物じみていて、規律も統一性も皆無なのに関わらず、結束やチームワークは抜群の組織である。


何度も言うが、彼らの実力は化け物じみている。そんな彼らが自ら従いたいと望むほど、名無しは強大な存在なのだ。

名無しにしても部下を大切にしているようで、彼女の部下の協力を仰ぐとなると引き換えに何らかの要求をしてくる。


その歯牙が身内であるはずの海軍に向き、上層部の不正を暴くようになってからは、名無しは駄犬から、海軍の秩序を守る番犬と呼ばれるようになった。

烏合の少数精鋭とも称される彼らは、障害物を蹴散らし、陥れ、海軍として市民を守りながら、孤立した場所で平穏そうに過ごしていた。
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