海賊

□狼は正義の元に
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前回、私こと名無しは、“白ひげ海賊団である”という理由から、のちの赤犬となるサカズキに攫われて海軍本部マリンフォードへ連れてこられました。

そこで下された私の処遇は、なんと本部で海兵として勤務することでした。

海賊という海兵が大嫌いな立場でありながら海兵になるというとっても意味の分からない展開、果たして名無しさんはどうなってしまうのか⁉


はい、あらすじ終了。今は相変わらず困惑してます。


「こんな小娘、しかも海賊を兵力として育てるとか海軍どんだけ人手不足なんだよ。しかも立場が立場だから絶対ぼっちじゃん。辛い」
「ブツブツブツブツやかましいわ、小娘が」


怒られた。私こいつ嫌い怖い。

私が海賊だからか、こいつは私を嫌い、事あるごとにつっかかってくるのだ。だからサカズキは嫌い。

連行されてる時はギャアギャア騒いでいたけれど、海軍内に置かれると決定してからビビりまくってるよ。


「あの、これ外してもらえませんかね。気分悪くてしょうがないんだけど」
「海楼石を外したら貴様は暴れるじゃろう」


暴れてどうするのよ。航海能力が皆無の私が、こんなとこで暴れてどうやって脱出するんだよ。暴れる意味ねぇわ。


もしも私にこの海を渡る力があったら、全力で抵抗して暴れていた。

私は今猛烈に帰りたい。ルリチョウに抱き付いて、サッチのご飯食べて、マルコと取っ組み合って、ナースのお姉さまがたとお茶して、親父様とただいま、おかえりって言い合いたい。

みんなに会いたい。

だけどそうもいかない。たった一人でこんな海に出てしまったら、即あの世行きだ。


逃げ道なんてとっくに絶たれてる。

このマグマ犬に乗せられた船が出航した時点で。


海兵の肩書きを持った捕虜として過ごすか、あるいは命令に背いて意識的役立たずとして死ぬか。

これなら迷わず、私は前者を選ぶ。生きていれば何とでもなるから。

今はなんとか、生きていける場所を確立しなければ。
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