海賊
□プロローグ
2ページ/5ページ
ほんの少し前まで、私は普通の女子中学生だった。
オタクで変わり者と呼ばれたが、特に秀でた所もない学生である。
受験も終わり、卒業を控え、穏やかに残りの中学校生活を過ごしていた、普通の女子中学生だった。
それが覚えている限りでは三年前、私は突然この世界に飛ばされた。
何の脈絡もなく、気付くと海賊船で船長の娘をやっていた。
しかも身体は幼女のもの、推定5歳から6歳だ。周囲の者が大きく思えて仕方がなかった。
手も小さいし、ちゃんと立ってもそんなに高さが変わらない。突然自分が小さくなったから、座った時と起き上がったときの変化が小さく思えるのだろう。
立場の変化も大きかった。
まず、船長兼私の父親らしき男は、私を人とは思っていないらしく、私を荒く扱い、粗末な食べ物を寄越し、酒を呑んでは私に暴力を振るってきた。
前回15歳まで育ててくれた親は私に優しかった、というか甘かったから、こういう変化もかなり辛かった。
現在推定8歳、実年齢だと23歳になるのかな、とにかくそのぐらいだ。
オタクな私はトリップのワードが浮かんだが、海賊って何の作品? あの有名な「人がゴミのようだ!」発言をした某M大佐のいる世界も、一応は海賊いたよな?
とどのつまり今のところ、ここがどこだか分かっていない。三年間、過ごしていて、なんの手がかりも見つけられないなんて。