海賊
□狼は砂に何を見る
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「っぐ‼ がはッ!」
覇気をまとう白ひげの衝撃波が、クロコダイルの脇腹から肋骨を襲う。
軽々と転がるその体はダメージが重なり、立ち上がるどころか意識を保つことすら危うくなった。
「⋯⋯かッ⋯⋯」
「グララララ⋯⋯もう終わりか、小僧」
声も出せず、ぼやけた意識の中にいるクロコダイルに対し、白ひげはそう言い放った。
反応はない。恐らく、白ひげが言い放った言葉も聞き取れてすらいないのだろう。
「⋯⋯流石にこれ以上は勘弁しといてやろう」
良心からそう呟き、武器の薙刀を収める白ひげ。
その行為が、高いプライドを持つ人物の心をへし折るものだとは分かっている。白ひげにしてみればそんな事知った事ではないが。
後に、俺をナメてんのか、とクロコダイルが絶叫するのを予想しながら、白ひげは恐れ戦く敵の海賊達に向かって、覇気を放つ。
突如として白目を剥き、泡を吹いたりしながら倒れていく敵を前にして、名無しとルリチョウは目を見開いた。
「なっ⋯⋯?」
「ぅあっぶね!」
倒れてくる敵の海賊を避けながら、名無しは白ひげに目を向けた。
視線に気付いた白ひげは、娘に向かって頼もしい笑みを浮かべた。
あの人が何かしたんだ、と名無しは理解した。