dream

□第五話-モラリア紛争-
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 モラリアで行われる次の大掛かりなミッションの為、イアンが追加武装を運んできた。
 構想、および設計時はライトニングも関わっていたが、製造はイアンと技術チームの尽力のたまものだ。
「んで、こいつがブリューナクの追加武装。特注品のGNランチャーだ。ライトの設計通り、Bモード、Eモード以外にWモードも実装しといたぞ」
「わぉ、Wモードの実装よく間に合ったね。あの設計通りに作るの大変だったんじゃない?」
「なぁに。わしにまかせりゃざっとこんなもんよ」
 自信満々に語るイアン。横で、目をキラキラさせながらパイロットスーツのライトニングがイアンの持ってきた書類と、武装を交互に見ながら何度も頷いた。
「イアン、あなたって最高ッ!!」
「はっはっは。わしに惚れるなよ?」
 キラン。眼鏡を光らせてニッと笑うイアンに抱きついて頬に軽くキスしてライトニングが叫ぶ。
「イアン愛してるッ!」
 力いっぱい叫んでブリューナクの方へ走り去ってしまったライトニングを見送るイアンの背後で、乾いた声がした。
「おいおい…まじかよ。いや、ライトのガンダム馬鹿は今に始まった話じゃねぇけどよ…」
 パイロットスーツでぶつぶつ呟くロックオンに、イアンがニッと笑って言った。
「お、なんだぁ? 青春か?」
 イアンの肩に腕を乗せて苦い笑顔でロックオンが返す。
「いやいや、おやっさん。割と洒落になってねぇから」
 エクシアにぴったり張り付いて離れない刹那と、ブリューナクにぴったり張り付いているライトニングを眺めながらイアンがしみじみとつぶやいた。
「しっかし、なんだな。このままじゃ刹那もライトニングもガンダムと結婚するしかなさそうだぞ?」
「だから洒落になってねぇって!」
 はっはっは。と、イアンの大きな笑い声が響く中、空からヴァーチェとキュリオスが舞い降りた。




「ティエリー! 久しぶりね」
 嬉しそうに駆け寄るライトニングにヘルメットを外して眼鏡をかけながら、ティエリアが淡々と言った。
「そこまで言うほど長くはない」
「あら? そうだったかしら…」
 んー…。と、考え込むライトニングを置いてさっさと行ってしまったティエリアと入れ替わるように、遠慮がちな声がやってきた。
「あの…ライトニング」
「ん? どうしたの、アレルヤ」
「体はもう、平気ですか?」
「え? ああ! 頭痛ならここ最近は全然起きてないから大丈夫よん。心配かけちゃってごめんね」
「いえ…いいんです。平気なら。それと、この前は変なことを訊いてしまってすみませんでした」
 少し会っていなかっただけなのに、アレルヤの声が前より暗い。
 これは…何かあった。
 そう直感して、ライトニングは小声で言った。
「アレルヤ。このミッションが終わったら、ちょっと付き合ってもらいたいことがあるんだけど、いい?」
「え? 僕ですか? 構いませんけど…」
 目を丸くするアレルヤの肩を軽くたたいて、まだ何か楽しそうに言いあっているロックオンとイアンの元へ戻る。
 本当に…ここには放っておけない子が多い。




 そして、モラリアでのミッションが始まった。
「んじゃ、さくっとやっちゃいますか」
 高機動で飛び回りながら、追加してもらったばかりのランチャーをぶっ放す。
 弾の数だけ次々とAEUのMSが煙を上げて落ちていった。
 機動性に特化した高速の機体は近距離だけではなく、遠距離でもとんでもない威力を発揮する。
 ロックオンほどではないにしろ、ライトニングも射撃は得意だ。
 取り回しの難しいランチャーのモードを自在に切り替えながらどんどん空域を制圧していく。
「ま、どっちかっていうと格闘戦の方が好きなんだけど。今回みたいなミッションには飛び道具が向いてるのよね…。イアンに頼んで作っといてもらってよかったよ」
 実際、パイロットであるライトニングの能力もさることながら、ガンダムブリューナクという機体そのものの性能も驚異的なものがあった。
 高機動による運動能力で、100%に近い回避能力と高度な近接戦闘能力と汎用性の高いビーム槍を有しており、苦手としていた遠距離戦もGNランチャーの実装により補われたどころか得手となった。弱点があるとすれば、機動性を極限まで高めたために他の機体に比べて装甲がかなり薄いということと、超高速運動による旋回時にはパイロットにとんでもないGをかけてしまうということ。
 ゆえに、CBの開発部ではこの機体をパイロット殺しとまで呼んでいた。
 うまく使えば確かに強いが、それにはパイロットの身体に重い負担がかかり、更に、高い回避性能を持っているとはいえ、回避できなければ他の機体よりダメージが大きい。
 様々な意味で、ライトニングの専用機とも言うべき機体であった。
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