short story

□銀と甘味
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ある日の昼下がり。

私は『魂平糖』に来ていた

団子を頬張っていると不意に話しかけられた

?「おっ、久しぶりじゃねェか」

「あ、銀。久しぶり〜。」

そこにいたのは銀髪ふわふわ頭の銀

かつての戦友だ

銀が隣に座り、団子を注文した

坂田「甘味好きは変わらずか?」

「ほははひはまはほ?(お互いさまだろ?)」

坂田「食べながら喋るんじゃないっ」

銀の右手がスパンと私の頭を叩いた

「フゴッ......や、やめろよ!!」

私は咳き込みながら言い返したが銀には通じないようだ

ムッと膨れる私に銀が話しかける

坂田「なぁ。名前?」

「何?」

銀は注文した団子を食べながら続ける

坂田「俺さ、甘味より好きなモンがあんだ」

その声はいつになく真剣だった

「なにそれ?初耳だね」

私はわざと茶化した

が、空気は変わらなかった

坂田「好きなんだよ。お前が。」

「......はっ?」

聞こえてきた声に驚き銀を見ると

いつの間にか真剣な顔でこちらを見ていた

坂田「名前が好きなんだ......」

銀の右手が私の左手を捉える

無骨な左手が私の右頬を包む

「ぎっ、銀......?」

銀の顔は赤らんでいて見惚れてしまいそうなほど美しかった

徐々に2人の顔が近づく



私のファーストキスは

よく耳にする『レモンの味』ではなく

甘くステキな味がした
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