short story

□最期は笑顔で
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ここは血の臭いが漂う今日の仕事場

攘夷志士どもを斬ってゆく

「ハァ...ハァ...。い過ぎだよコレ。キリねぇじゃん......」

私のいる所は崩れかけたビル

柱やら壁やらにヒビが入っていて今にも崩れそうだ

「......ふぅ。このフロアは終わったか?」

眼前に広がる景色は良いものではなかった

全てが赤黒く、立っている者は私だけ

「.........ってェ。」

全身傷だらけで痛い。

ここにいても仕方ないので他のフロアの様子を見に行く事にした

壁に手をつきながら階段を上る

ビルの中は薄暗く視界が良くない

階段を登りきると人影が動いているのが見えた

「!」

咄嗟に刀を構えるが

「なんだ退か...」

退以外に立っている者はいない。

ここも終わったかと思ったが退の背後に倒れていた奴が立ち上がり斬りかかる

「退っ!!」

思わず退の方に駆け出す

彼の頭上には白刃

間に合うか!?

ドンッ

山崎「名前ちゃん!?」

退を突き飛ばし、音もなく私は斬られた

「くっ!」

私の背後には壁が無く
すぐ下には瓦礫の山

落ちたらひとたまりもない

だが退の方は大丈夫のようだ

「ギリギリセーフ......」

大事な人を護れた

たとえ、貴方にどう思われても......嬉しかった

「はぁっ!」

目の前の敵を切り捨てる

踏み込んだのが悪かったのか、足元が崩れ私の身体が宙に浮く

退の手が私の方に伸びてくる

私は手を取らなかった

道連れにする訳にはいかない

代わりに声を掛ける

「そんな顔すんなよ」

愛しい君と目を合わせたまま落ちてゆく

ニッコリと微笑んで

「貴方に会えて良かっ......」

ドシャッ
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