long story
□双黒龍事件
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名前side
「う......。あれ?ココどこだ?」
私は頭の痛みで目覚めた。
(身体が動かない......)
私は立ったままの状態で柱に縛り付けられていた。
周りに人の気配は感じられない。
(廃ビル、か?)
崩れかけたビルの中らしい。少し遠くの割れた窓から江戸の街並みが見える。
?「おや。目が覚めましたか?」
「誰だ!!」
背後から二人の男がでてきた。
男1「そんな殺気立たないでくださいよ〜。一番隊副隊長様。」
芝居かかったお辞儀を見せた。
「こんな事して何が目的なんだ?金か?逃走用の車か?」
男2「そんなモン要求したって出さないだろ?」
男1「我々は復讐の為にここに居るのですよ〜?」
「復讐?」
コツコツと歩み寄ってくる。
男1「そうです!偽双黒龍に復讐する為です。」
『ですが......』と続けながら私の顎を掴み上げる。
男1「聞いていたより貴方は女の様に美しいですねェ......。人質なんて勿体無い。」
「はい?誰に聞いたんだよ。」
男1「ですが、そうなると計画が台無しになってしまう。さてどうしたものか......。」
「おいこら、無視か。」
男1「そう言えば我々の自己紹介がまだでしたね。」
「ガン無視!?総悟よりひでェ......。」
少し離れ、自己紹介を始めた。
男1「改めまして。お初にお目にかかります、我々の名は双黒龍......。偽物双黒龍を殺すために歴史の底から蘇ったのです!」
「.........は?」
私が思わず間抜けな声を上げると二人がコソコソ話し出した。
男1「思ったより反応薄いんだけど。」
男2「アニキ。一般人なんじゃないの?」
男1「でも制服着てんじゃん。」
男2「だから違う人の方がいいって言ったじゃん。」
男1「でもさぁ......。」
残念ながらコチラに丸聞こえである。
(え、なに?わざとか?ツッコミ待ち?ツッコんだ方が良いのかコレ!?)
話し合いが終わったのだろうか、二人が振り返った。
男1「えーと......。とりあえず!我々は双黒龍で......」
「辻斬りの犯人?」
男1.2「何故それを!?」
「丸聞こえだっつの!!」
(素で気付かなかったのか......。)
ギャーギャー三人で騒いでいると遠くからパトカーのサイレンが聞こえてきた。
男1「え、なんで?なんでサツ来てんの?通報しちゃった感じなの?」
「お前キャラがブレブレだけど!?いいのそれで!?」
男2「この人の携帯のGPSじゃないの?......アニキ、電源切った?」
男1「え?お前切ってないの?」
二人が顔を見合わせた。
男1.2「...............」
「お前らバカだろ......。」
ドガァッ
左側の壁が吹き飛び、目の前に愛刀の双剣が突き刺さる。
その方向にむき、ニヤリと笑う。
「来んのおせェぞ......。頼むよ信じてんだからさ。」
土方「悪ィな、待たせちまって。」
沖田「ヒーローは遅れて登場するモンでさァ。」
砂煙がはれる。
土方「真選組だ。」
沖田「神妙にお縄につきやがれィ。」
性悪コンビが仁王立ちしていた。
男1.2「げ。」
冷や汗をかいている男二人に話しかける。
「お前等は喧嘩を売る相手を間違えた。そして少し勘違いして覚えているようだ。指摘一つ目。確かに『双黒龍』の服装は全身黒ずくめだ。そこは正解。だが『双』は『二人』と言う意味じゃない。『双の刀』。」
ブチブチッ
縄を引きちぎって柱から開放される。
男1「な、縄を!?」
男2「アニキ!ヤバイよコレ!」
「指摘二つ目。」
私は愛刀に手を添えた。
「性別は.........女だ。」
ジャキンッ
刀を引き抜き、足に力を込める。
二人の目の前で刃を止めた。
「人の名を勝手に語るなよ。」
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偽物双黒龍騒動は終結し、二人は御用となった。
土方「.........俺等、来る意味あったか?」
沖田「美味しい所、持ってかれやしたねィ。」
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数日後。
男1「え、貴女が双黒龍なんですかっ!?」
男2「お会いできて光栄です。」
「マジで知らなかったんかい。」
今回も無事に検挙完了しました。