long story

□双黒龍事件
7ページ/7ページ


名前side

「う......。あれ?ココどこだ?」

私は頭の痛みで目覚めた。

(身体が動かない......)

私は立ったままの状態で柱に縛り付けられていた。
周りに人の気配は感じられない。

(廃ビル、か?)

崩れかけたビルの中らしい。少し遠くの割れた窓から江戸の街並みが見える。

?「おや。目が覚めましたか?」

「誰だ!!」

背後から二人の男がでてきた。

男1「そんな殺気立たないでくださいよ〜。一番隊副隊長様。」

芝居かかったお辞儀を見せた。

「こんな事して何が目的なんだ?金か?逃走用の車か?」

男2「そんなモン要求したって出さないだろ?」

男1「我々は復讐の為にここに居るのですよ〜?」

「復讐?」

コツコツと歩み寄ってくる。

男1「そうです!偽双黒龍に復讐する為です。」

『ですが......』と続けながら私の顎を掴み上げる。

男1「聞いていたより貴方は女の様に美しいですねェ......。人質なんて勿体無い。」

「はい?誰に聞いたんだよ。」

男1「ですが、そうなると計画が台無しになってしまう。さてどうしたものか......。」

「おいこら、無視か。」

男1「そう言えば我々の自己紹介がまだでしたね。」

「ガン無視!?総悟よりひでェ......。」

少し離れ、自己紹介を始めた。

男1「改めまして。お初にお目にかかります、我々の名は双黒龍......。偽物双黒龍を殺すために歴史の底から蘇ったのです!」

「.........は?」

私が思わず間抜けな声を上げると二人がコソコソ話し出した。

男1「思ったより反応薄いんだけど。」

男2「アニキ。一般人なんじゃないの?」

男1「でも制服着てんじゃん。」

男2「だから違う人の方がいいって言ったじゃん。」

男1「でもさぁ......。」

残念ながらコチラに丸聞こえである。

(え、なに?わざとか?ツッコミ待ち?ツッコんだ方が良いのかコレ!?)

話し合いが終わったのだろうか、二人が振り返った。

男1「えーと......。とりあえず!我々は双黒龍で......」

「辻斬りの犯人?」

男1.2「何故それを!?」

「丸聞こえだっつの!!」

(素で気付かなかったのか......。)

ギャーギャー三人で騒いでいると遠くからパトカーのサイレンが聞こえてきた。

男1「え、なんで?なんでサツ来てんの?通報しちゃった感じなの?」

「お前キャラがブレブレだけど!?いいのそれで!?」

男2「この人の携帯のGPSじゃないの?......アニキ、電源切った?」

男1「え?お前切ってないの?」

二人が顔を見合わせた。

男1.2「...............」

「お前らバカだろ......。」

ドガァッ

左側の壁が吹き飛び、目の前に愛刀の双剣が突き刺さる。

その方向にむき、ニヤリと笑う。

「来んのおせェぞ......。頼むよ信じてんだからさ。」

土方「悪ィな、待たせちまって。」

沖田「ヒーローは遅れて登場するモンでさァ。」

砂煙がはれる。

土方「真選組だ。」

沖田「神妙にお縄につきやがれィ。」

性悪コンビが仁王立ちしていた。

男1.2「げ。」

冷や汗をかいている男二人に話しかける。

「お前等は喧嘩を売る相手を間違えた。そして少し勘違いして覚えているようだ。指摘一つ目。確かに『双黒龍』の服装は全身黒ずくめだ。そこは正解。だが『双』は『二人』と言う意味じゃない。『双の刀』。」

ブチブチッ

縄を引きちぎって柱から開放される。

男1「な、縄を!?」

男2「アニキ!ヤバイよコレ!」

「指摘二つ目。」

私は愛刀に手を添えた。

「性別は.........女だ。」

ジャキンッ

刀を引き抜き、足に力を込める。
二人の目の前で刃を止めた。

「人の名を勝手に語るなよ。」

......................................................

偽物双黒龍騒動は終結し、二人は御用となった。

土方「.........俺等、来る意味あったか?」

沖田「美味しい所、持ってかれやしたねィ。」

......................................................

数日後。

男1「え、貴女が双黒龍なんですかっ!?」

男2「お会いできて光栄です。」

「マジで知らなかったんかい。」

今回も無事に検挙完了しました。
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ