baby's breath
□プロローグ
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やだやだやだ
気持ち悪い
怖い怖い怖い、
助けて
助けて
寿、助けて
夢の中で聞こえてきた水の音に、
はじかれるように体を起こした。
案の定隣の布団に千広はいない。
玄関に続く短い廊下の壁にはバスルームとトイレがあって、その扉が開け放されて、オレンジの光が漏れていた。
激しくむせるように咳き込んで、それから嘔吐したのが分かった。
眠気もふっとんで、距離なんてほとんどないのに、必死に駆け寄った。
ドアを開けて真正面に設置されてる洋式トイレに、千広はいた。
両手をふちにかけて、頭を便器にあずけるようにして。
「千広!」