箱庭
□world1
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意識が、ゆっくりと浮上する感覚がする。
嫌な、夢……。
胸の中に、ドロッとして重たい、気持ちの悪いものが溜まっている気がした。
早くそれをかき消したくて、瞼を開ける。
霞んでいる視界が徐々に開いていくことが、焦れったかった。
早く……見たい。
ほんの僅かな時間が、僕には長く感じる。
「蓮……」
完全に開いた視界いっぱい、大切な弟――蓮の顔で埋め尽くされる。
切れ長の瞳を縁取る長い睫毛に、スッと通った高い鼻梁。
艶やかな髪は、シーツに散っている。
甘い言葉を紡いで、僕を愛してくれる唇は静かな寝息を立てていた。
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