箱庭

□プロローグ
1ページ/5ページ



怖い鬼たちが、叫んでいた。


見つからないよう隠れた狭い押し入れの奥で、はあはあと悲鳴のように息が漏れる。


何度も息が詰まりそうになっていた。


恐ろしくて恐ろしくて。


それ以上に、苦しくて堪らない。


薄い糸が張っただけの意識は何度も手放しそうになるのに、叫び声や物音が聞こえるたびに現実へ引き戻される。


いい加減、気が狂ってしまいそうだった。




「おにいちゃん……」




恐怖に満ちた声で名前を呼ばれ、はっと我に返る。





次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ