箱庭
□プロローグ
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怖い鬼たちが、叫んでいた。
見つからないよう隠れた狭い押し入れの奥で、はあはあと悲鳴のように息が漏れる。
何度も息が詰まりそうになっていた。
恐ろしくて恐ろしくて。
それ以上に、苦しくて堪らない。
薄い糸が張っただけの意識は何度も手放しそうになるのに、叫び声や物音が聞こえるたびに現実へ引き戻される。
いい加減、気が狂ってしまいそうだった。
「おにいちゃん……」
恐怖に満ちた声で名前を呼ばれ、はっと我に返る。
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