海の巫女

□3.ヒューマンショップにて
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「何か欲しいモノがあるんじゃないのか」






ローの唐突な問いにヴィラは不思議にそうに首を傾けた






「え?」


「さっき、何かを言いかけたように見えたが」






数時間前のヴィラの呟いた『まぁ、欲しいものがないわけじゃないですけど…』の言葉を気にかけていたようだ




「え、あ、何でもないですよ、いやホントに」


「何気遣ってんだよヴィラ、キャプテンが買ってやるって言ってるんだぜ?」





なかなか言い出さないヴィラを見て、シャチが優しく和す






「…その、す……が欲しいなって」


「え?」




小さな声が聞き取れず再度聞き直す





「…あの……ローのピアスが欲しい…です」



「……」






ヴィラの言葉に一瞬身動きをしなくなるハート海賊団一行







「こんなものが欲しいのか」


「え、は、はい」






素直に吐いた言葉に皆予想外だったようで戸惑うヴィラ

なにかまずいことでも言ったのだろうか






「いや〜、キャプテン!ヴィラはやっぱり違いますね!」





なぜか嬉しそうに話すシャチたち
続いてあきれたようにローはため息をつき、自分の耳からピアスを取りヴィラに手渡す






「やる」


「いいんですか?」





嬉しそうにそれを受け取るヴィラ






「なんでシャチたちはそんなに嬉しそうなの?」






不思議に思ったことは直接本人に尋ねてみる





「今までキャプテンに付きまとった女は口を開けば宝石だの、服だのって…言ってな、俺たちのキャプテンの何もわかっちゃいなかったんだよ」




要約するに、もはや心酔と言っても過言ではないレベルでローを慕っているクルーたちは、今まで金というモノにつられ彼に蔓延っていた女たちと違い、彼本人を好いているという意味で
ローの所有物というものを欲した彼女に関心の意思を示したのだ

ま、いっても数カ月ヴィラと共に過ごしたクルーたち、彼女の性格を理解した上で、今彼女がここで何を言っても了承していたことは間違いないのだが…。






「シャチ、余計ことを言うな」





他の女の話をヴィラに教えることはいい気がしないロー、シャチたちに一言忠告を残し、彼は嬉しそうな様子でピアスを握るヴィラを見つめていた


大して高価なものでもないそのものがそんなに嬉しいモノだろうか





「んっ!?」





突然ヴィラの唇に自分のモノを重ねるロー





「な、なにするの!」


「うるせェ、したいからした、それだけだ」






そんなヴィラの様子を突如愛おしく見えたのは、ローの心のうちだけに秘められていた…














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